「クルマは新しいほどいい」は本当か? (1/2ページ)

明らかに進化しているポイントは多い

 クルマは機械モノである上、自動車メーカーが何百億という大金を使って開発しているものだけに、「新しいほどいい」というのは基本的に正しい。では「新しいクルマは何がいいのか?」というテーマを、10年ほど前のクルマを基準に3つのポイントにより、「新しいクルマのほうが退化している部分はないのか?」ということを考えてみたい。

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●新しいクルマは何がいいのか?

①安全性:大きく進歩

 新しいクルマが古いクルマに比べてもっとも進歩しているのが安全性だ。その具体的な要件を挙げよう。

・事故に遭わない、起こさないための予防安全
VSCやVDCなどと呼ばれるスタビリティコントロールの標準装備化、スバルのアイサイトに代表される自立自動ブレーキの急速な普及。

・事故に遭ってしまったときの衝突安全性
運転席と助手席のエアバッグだけでなく、側面衝突の際などの乗員保護に大きな効果をもつサイド&カーテンエアバッグの普及。

The 2014 Honda Odyssey is tested during the Insurance Institute for Highway Safety's small overlap frontal crash test. Photo courtesy of the Insurance Institute for Highway Safety.

 アメリカの権威ある保険機関が行う衝突安全性のテストで、スモールオーバーラップと呼ばれる試験項目(通常のオフセット衝突はクルマの全幅の40%の面積で衝突させていたのに対し、スモールオーバーラップはクルマの全幅の25%の面積で衝突させるという非常に厳しい試験)の導入。その対応になどによるボディそのものの衝突安全性の向上。

※日本で販売されている日本車でスモールオーバーラップ衝突で優秀な成績を収めるモデルはそれほど多くない。

 多くの人にとってクルマに乗っていて一番嫌なこと、心配ごとが事故であるのを考えれば、安全性の向上を大きな理由にクルマを買い替えるのも大いに納得できるところだ。

  

②燃費:大きく進歩

 ハイブリッドカーの普及や通常のガソリンエンジン車の改良、新技術の導入により、燃費は10年前に比べればハイブリッドカー、通常のガソリン車ともに20%程度向上しており、大きな進歩を遂げた。

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 またハイブリッドカー以外にもここ数年で、プラグイン・ハイブリッド、電気自動車、燃料電池車、クリーンディーゼルといった新しいパワーユニットが登場したこともあり、「燃費がいい、燃料コストが安いクルマ」という観点でクルマを選ぶ際に、使い方や好み、自分のまわりのエネルギー供給インフラに合ったクルマを選びやすくなったということも技術の大きな進歩といえる。

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③走り:概ね進歩

 走りに関してはクルマによって違いもあるが、クルマの基盤となるボディ剛性の強化によるシッカリ感、いいクルマ度は概ね向上していると感じられるだろう。動力性能に代表される速さも、スポーツモデルであればサーキットのラップタイムやゼロヨン加速のタイム、実用車であればピーク値はともかくとして発進加速や追い越し加速の体感的な速さなどで、進化を感じられることがほとんどだ。

 ただしクルマによっては、「新しいプラットフォームの採用で熟成が足りず、従来型に及ばない部分がある」、「乗り心地が従来型に劣る」ということもある。スポーツモデルでは「従来型のほうが車重などの影響で楽しかった」といった主にフィーリングや趣味性で「古いクルマのほうが良かった」というケースもある。


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