車イスレーサー青木拓磨が目指す「障がい者でもサーキット走行を楽しめる世界」 (2/2ページ)

ライセンス取得が可能になるスクールに育てたい

 青木選手はこのレーシングスクールについての思いを語る。そのスタートは、自らの4輪のライセンス取得以前の話までさかのぼる。青木選手が2輪の事故をきっかけに4輪への転向を決めたのが19年前。ライセンスの申請をするものの、あいまいな回答による却下が続いていた。

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 その原因は「歩けない」ということがイコール「車両から脱出できない」と考えられてしまうことだろうと青木選手は考える。しかしそれは「普通の人たちの考えであって、障がいを持っている我々の考えではない」と。この両者の溝をどのように埋めることができるのか、ということを常に考える機会になったという。

 それでも、「車イスを使用しているというだけでレースに出られないというのはおかしい」と青木選手は問題点を確認し、申請を続け、ようやく10年前にライセンスが発給された。以後レース参戦を続け、現在は国際Bライセンスを取得している。車イスの国際Bライセンス所持者は世界でも3~4名しかいないという。
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 車イスだから排除する、では何も進まない。「自分だけライセンス取れちゃった。ラッキー」という考えではなく、もっと広めていって、障がいを持っているだけでレースをあきらめるということがないようにしたい。

 そのためには、このHDRSが走行会で終わるのではなく、最終的にはライセンスが取れるというお墨付きが持てる団体にならないといけないし「どこまでの障がいがあり、どういう対応をすべきなのか」について、ドライバー、そしてオーガナイザー、サーキット運営側が共通して認識を共有できる情報開示も必要だという。

4C_01HDRSは、レーシングスクールと名前がつけられているが、その内容はもう少し高い次元を目指しており、もっといろんな人がレースに出る、もしくはサーキットを走る。そのための活動であるのだ。

 ちなみにHDRSの今後の予定は、9月21日(水)と11月16日(水)に、ともに千葉県・袖ケ浦フォレストレースウェイで開催を予定している。

 (写真:青山義明)


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