【海外試乗】ポルシェ911GTS「圧倒的に扱いやすいがストレートはGT3を超えた」 (3/4ページ)

ターボユニットでストレートはGT3を上まわる!

 2日目はいよいよGTSのクーペでサーキット走行を行う。コースからもテーブルマウンテンが臨める、ケープタウン市内からそう遠くないところにサーキットがある。

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 ここは1947年に開設された歴史あるサーキットで、かなり昔になるが、ジャガーXKで走ったことを思い出す。2本のロングストレートを組み合わせた単純なレイアウトではあるが、平均速度が高い高速サーキットだ。GTSを試すにはもってこいだといえそうだ。

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 サーキットの試乗方法は、インストラクターの先導車に追従するカルガモ走行。後ろ2台の試乗車に我々が乗り込む。かなり昔走ったコースなのでレイアウトは忘れているが、そんなときでもインストラクターの後に続きコンボイで走れば、コースのポイントが早く理解できるというメリットがある。

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 もちろんこれはどこのインストラクターでも同じだが、インストラクターの習性で先導車にピタリと喰らいつけば自ずとペースは上がり、間隔が開くとペースは下がる。

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 まず手始めにGTSクーペの7速MTからドライブ。先導車の真後ろに並んだ。インストラクターはポルシェの若手テストドライバーで、ニュル24時間レースのワークスサテライトチーム、「マンタイ・ポルシェ」でもステアリングを握るプロフェッショナルだ。

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 インストラクターのテールから離されないようにペースアップ。最高出力450馬力/6500rpm、最大トルク550N・m(56.1kg-m)/2150-5000rpmのエンジンは、従来モデル比でプラス20馬力、110N・m(11.2kgm)のスペック。

 トルクの大幅な向上と、3600rpmも低くなった最大トルク発生回転数、そしてそれが5000rpmまでフラットに続くところがポイントだ。

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 だが反対にGTSはターボなので、7000rpmがリミット。そのあたりを頭に入れて、低速トルクの太さを活かし2本のストレートを繋ぐタイトに見えるコーナーも3速ギヤで走ることにした。

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 ちなみにタイヤは、ポルシェがサーキットリコメンドだというピレリの浅溝が装着されていた。その言葉どおりこのタイヤはサーキット走行を意識したもので、簡単にいえばGT3のミシュラン パイロット スポーツカップ2と同じコンセプトだが、街乗りを少し意識していてウエット性能はこちらのタイヤのほうが良いとのことだ。

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 実際GTSは、911GT3とほぼ同じタイムでニュルを走ると言われているが、その言葉にウソはなかった。自然吸気のGT3よりもターボのGTSはトルクフルなので、コーナーの立ち上がりを過ぎたストレートは確かにこっちのほうが速い。

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 コーナーではGT3は切れ味が鋭くドライバーのスキルを試すようなピーキーな特性を隠せないが、2150-5000rpmまでフラットに最大トルクが出るGTSは本当に乗りやすくてホット。トータルで評価すれば、GTSは誰でもスポーツドライビングが楽しめるメチャクチャに速い911ということになる。

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 乗りやすさでいえば、やはりPDK(ツインクラッチ・2ペダルMT)だろう。日本で販売されるGTSはすべて7速PDKらしいので、7速MTの次に7速PDKを試した。しかし正直に告白すると、PDKではイマイチ走った気がしない。

 エンスー的な発言をすれば、ドライバーの五感と全身を使う左ハンドルの7速MTでのドライビングこそが、GTSのポテンシャルを骨までしゃぶって楽しむことができる仕様だと思う。

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 もちろん一般道路でPDKはありがたいが、GT3並のポテンシャルを持つGTSには、硬派なMTが似合うとあえてコメントしておきたい。

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