最近ゴム部分の「薄い」偏平タイヤのクルマが増えている理由とは?

運動性能向上とドレスアップの両面でメリットがある

 最近のクルマのタイヤはスポーツ系やスーパーカーでなくても、タイヤのゴム部分が薄く、ホイールが大きい偏平タイヤをノーマル状態で履いていることが増えている。

※偏平タイヤの偏平率とは、例えば215/45R17というタイヤであれば45の部分で、45は「タイヤ(ゴム部分)の高さが幅(例なら215の部分で、215mm)の45%分ある」という意味で、小さいほどゴム部分は薄くなる。「どの偏平率からが偏平タイヤか?」という明確な定義はないようだが、一般的に45偏平以下が偏平タイヤといえるだろうか。

 偏平タイヤが増えている理由を考えてみると、

※初めにクルマのタイヤの外形(≒直径)はホイールハウスの大きさでおおよそ決まり、Aというクルマであればタイヤの外形は基本的に一定にしなければならないということを頭に置いていただきたい。

●性能向上のため

1)ブレーキ性能の向上

 ブレーキ性能を向上させるために一番有効なのは、ディスクブレーキのブレーキディスクは大きくすることである。そのためにはホイール径(タイヤサイズの最後の16とか17の部分、単位はインチ)を大きくしたいのだが、前述したように直径は一定でホイール径を大きくするにはゴム部分を薄くする必要があり、偏平タイヤの出番となる。

2)コーナリング性能の向上

 すべての場合に当てはまる訳ではないが、コーナリングスピードを上げるにはタイヤを太くしたい。その場合もホイール径の大径化と同じように「タイヤの外形は一定」という原則を守りながらタイヤを太くするにはゴム部分を薄くする必要があり、偏平タイヤの出番となる。また偏平タイヤはゴム部分が薄いためハンドル操作に対するクルマの反応がシャープになり、フィーリング面でも偏平タイヤはコーナリングスピードの向上に貢献する(靴で例えるなら「底の厚い靴より薄い靴の方が動きやすい」といったところだろうか)。

●ドレスアップのため

 程度問題やクルマによる似合うに合わないはあるにせよ、やっぱりクルマの見た目はホイールが大きくてタイヤのゴム部分は薄い方がカッコいい。そういったカッコよさを求めるなら偏平タイヤは必要不可欠なパーツだ。

 もちろん偏平タイヤにはメリットばかりでなくデメリットもある。いくつか挙げると

・ゴム部分が薄い分、路面の凹凸を通過する際のショックを吸収しにくくなるので乗り心地が悪化しがち

・タイヤを偏平にするとタイヤの幅も太くなるので、燃費は悪化傾向

・偏平タイヤはタイヤの幅が太くなる分コーナリングスピードが速くなるのに加え、ゴム部分が薄くなる分いい意味でのタイヤのヨレもなくなる分、限界域のハンドリングがピーキーになる可能性がある

・太くて、薄い偏平タイヤは値段も高い

 といったことが浮かぶ。

 また自分のクルマを偏平タイヤにしたい(ホイール径を大きくするインチアップとセットになるケースがほとんどだと思うが)という場合、冒頭に書いたノーマルカーの偏平タイヤ化やデメリットを考えると過度な偏平タイヤ化、インチアップはもちろん勧められない。

 インチアップで言えば、ノーマルサイズが18インチ以上ならインチアップはしない方がいい、17インチまでなら1インチアップまでというのが比較的問題のない範囲だろうか。

 それ以上のインチアップをするのは自己責任というか、それなりの覚悟が必要だと考えた方がいいだろう。


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