39年ぶりに全面刷新したメルセデス・ベンツ「Gクラス」の開発責任者にインタビュー

伝統を活かしエクステリアデザインはキープコンセプト

 メルセデス・ベンツ最強のSUV「Gクラス」が、39年ぶりにフルモデルチェンジ。デトロイトショーでG550、ジュネーブショーでAMG G63がお披露目された。今回、統括責任者のグンナー・グーテンケさんにお話を聞くことができた。まずフルモデルチェンジで変えた所、変えなかった所はどこだろうか?メルセデス・ベンツGクラス

「ボクシーなエクステリアデザインとオフロード走行の3つのエレメント……ラダーフレーム、フロント/センター/リヤのディファレンシャルロック、ローレンジギヤは踏襲しましたが、それ以外は3つのパーツを残してすべて刷新しました」

「ユーザーの要望はオフロード性能を一切犠牲にせずに、オンロードでのドライビングや快適性を大きくレベルアップさせることでしたので、さまざまなチャレンジを行っています」

 エクステリアは初代のイメージを踏襲しながらも、ボディサイズは全長が53mm、全幅は121mm拡大。インテリアはインパネデザインやシート、マテリアルを含めて全面刷新。室内スペースも拡大されており、後席のレッグルームは15cmもアップされている。

 一方シャシーは新設計のラダーフレームにより、170kgの軽量化とねじり剛性50%アップを実現。フロントサスペンションはリジットからダブルウイッシュボーン、ステアリングはリサキュレーティングボールからラック&ピニオンに変更。さらにアダプティブダンピングシステムも採用されている。

 デザインを変えなかったのは「ユーザーがそれを望んでいるから」と語るが、逆にエンジニアリング的には形を変えたほうが性能アップに寄与する部分も数多いはず。その辺りの葛藤はあったのだろうか?
「もちろんたくさんありましたよ。例えばGクラスの特長の一つであるフェンダー上のインジケーターライトは、安全上の問題もありヘッドランプ内蔵式にするのが一般的ですが、われわれはGクラスの特長を守るために多くの努力により解決策を見つけました」

 逆に変えなかったことで生まれたアイデアなどはあったのだろうか?
「初代はリヤカメラを上部にマウントしていたので冬は汚れてしまう上に、角度もスペアタイヤが映ってしまいましたが、新型ではスペアタイヤの下部にマウントされ、つねにクリーンな状態の上にスペアタイヤを見ることなく完全にクリアな後方視界を映し出すことが可能です。これはユーザーからの要望を元に形にした物です」

 パワートレインだが共に4リッターV8ツインターボを搭載するが、G550は421馬力/610N・mに対し、AMG G63は専用チューニングにより585馬力/850N・mを誇る。現行モデルにはV12を搭載するG65やディーゼルのG350dなどもラインアップされているが……。

「G65は用意しません。エクスクルーシブなファン特定型の特別なモデルでしたので、今回はメインモデルに注力しました。逆にディーゼルは日本市場でも人気なので、今後新しい朗報をお届けできると思います」

 デトロイトショー前日のGクラスお披露目イベントでディーター・ツェッチェCEOは「将来的に全モデルに電動化パワートレインを搭載する予定で、Gクラスも例外ではない」と語っていたが……。

「必要な技術は社内にありますし、Gクラスもフレキシブルですので、前向きですよ」

 Gクラスは世界中で人気のモデルだが、ちなみに販売比率の高い地域はどこなのだろうか?

「アメリカが一番でドイツ、ロシア、中国、中東と続きます。そして根強いファンが多い日本です。以前、G5504×4スクエアードの紹介で行きましたが、非常に高評価でした」

 Gクラスは元々機能的なモデルが人気となり乗用モデルのトップへと成長したが、その理由はどこにあったのだろうか?

「Gクラスはただのクルマではなく“特徴のある”クルマと言えます。時間をかけると愛着が湧いてきてアイコン的な存在に。そんな特長を持つクルマはほかにはないと思います。その特徴を守り続ける、これが伝統であり今後も続けていきたいと思っています」


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