プレスライダー上がりの全日本選手が臨むアメリカで一番過酷な山登り【PPIHC2018】 (2/2ページ)

速いプレスライダーからサーキットへ、そして全日本選手権へ

 井上選手は、1978年生まれの現在39歳。筑波選手権を経て、全日本ロードレース選手権へ参戦。ST600、J-GP2、さらにJSB1000へとステップアップ。また写真家・加納典明さんが率いるチームで鈴鹿8耐にも参戦してきた。

 もともとはサーキットの「サ」の字もない、ただのバイク好きな青年だった。プレスライダーを生業としながら、夜な夜な首都高を走り回っていたという。そんなときにチームの岩野代表と巡り合い、一緒に走っているうちに、「サーキットを走ってみたら?」と誘われ、ロードレースの世界へとのめり込んでいった。サーキットでもその速さを見せた井上選手。「2人でちゃんとレースをしよう」と岩野代表と草レースから始め、カワサキプライベーターとして2006年からは全日本ロードレース選手権に参戦して活躍してきた。ほかにもテイストオブツクバでは過去4クラスで優勝した経験もある。

 そして迎えた2018年。前年から参戦を決め、怠りなく準備を進めてきたはずが、エントリー受理後にバタバタとチーム体制の変更、そして、マシンの選定も遅れたため、車両の準備がギリギリという状況となってしまった(4月中旬の取材時はエンジンも降ろされていてフレーム状態だった)。今回は時間がないということで、まずはノーマルに近い状態(それでも排気量は1000㏄まで引き上げている)という、最低限のチューニングで走ることとなっている。ルーキーであるので、まずはここからといったところ。ただし、井上選手もそれなりに経験を積んできたライダー。「みっともない結果はマズい(笑) あの日本人スゲーな、とまわりに思わせるくらいの走りはしてこようと思う」と。

 今年のターゲットタイムは、10分30秒台あたり。そして来年はマシンをきっちり仕上げて9分台に入れたいという目標を持っている。ただ競技はもちろん、クルマでの一般走行ですらパイクスピークを走ったことがない。まずは、事前に予定されている練習日にターゲットを決め、その後はレースウイークまでレンタルバイクでパイクスピークハイウェイを攻め続ける予定だ。


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