走り好きが行う「クルマの車高を下げる」ことにメリットはあるのか? (2/2ページ)

必ずしもメリットばかりではないので注意を

 つまり、レーシングカーが積極的に車高を低くするのは、コース一周の平均車高を下げることで、四つのタイヤのグリップ力の総和を増やすため。一方で、車体の形状ではなく、サスペンションだけで車高を下げようとすると、必ずサスが固くなるという弊害も出てくる。

 一般のローダウンのように車高を下げる=サスペンションのストローク(自由長)を減らす手法だと、50mmのストロークを25mm減らして車高を落とした場合、単純計算でバネレートは2倍必要になるので、乗り心地は悪くなる。固いアシは、接地性が悪くなるので、サーキットのようなフラットな路面でない限り、グリップ力はマイナスに……。

 また、ローダウンは、ロードクリアランスが減るので、ギャップなども越えられなくなる。アーム類の角度なども、車高を落とし過ぎると理想的ではなくなるので、車高は落とせば落とすだけいいというものでもない。

 そういう意味で、カスタマイズで車高を落とすときも、ノーマルより全高でマイナス30mmぐらいのダウンで、保安基準適合する最低地上高90mm以上を確保するのは、公道を走るうえでの前提になる。

 余談だが、車高を落とすと空気抵抗も減るような気がするが、ロードクリアランスが減るだけで、ボディの前投影面積はほとんど変わらないので、その効果はあまり期待できない。むしろ、フロアと路面の間が狭まることで、ボディ下面を流れる空気の粘性抵抗が増えて、ドラッグは増える可能性もある。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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