価格高騰のスカイラインGT-R! いま買うなら不人気のR33一択なワケ

走りはR32より上! しかもまもなく価格高騰の可能性あり

 第二世代の日産スカイラインGT-R、すなわちR32、R33、R34の中古車相場の高値が続いている。RB26DETTを搭載した最後のGT-R=R34の中古車相場は、平均で740万円! 現行の日産GT-R(R35)でも、300万円台、400万円台の個体があるのに、一向にその値段が下がりそうな気配がない。

 一方、R32GT-Rもアメリカの“25年ルール”の対象車となり、価格が高騰。平均価格は350万円……。いくら名車だとしても、25年も前のクルマがこんな価格では尻込みしてしまう人も多いだろう。

 そうした中、いま第2世代のGT-R3兄弟の購入を考えるなら、“次男”のR33が狙い目。16年ぶりに復活したGT-R=R32と、第2世代最後のGT-R=R34の間に挟まれて、いささか影の薄い感のあるR33だが、機械として評価するとGT-Rの名にふさわしいスグレモノといって間違いない。

「R33は今ひとつ」と思っている人のほとんどが、R33のプロポーションに愛着が湧かないようだが、じつはあのボディにこそ、R33の強みがある。わかりやすい点では、まず空力。R32のCd値は0.40と褒められたものではないが、R33はリアスポイラーを可変化したこともあり、Cd0.35~0.39とかなり改善。100km/h、200km/hと速度が増すごとにそのアドバンテージが大きくなる。

 リフトフォースもかなり低く、フロントリップスポイラーが前方に伸びたことで、前後の空力バランスもよくなっている。またバランスといえば、前後の重量バランスも、R32が59.4:40.6とフロントヘビーだった
のに対し、R33は57.5:42.5まで改善。

 バッテリーのトランクへの移設や、インタークーラーの軽量化、リアシートの下の燃料タンクなどの工夫も効いているが、ホイールベースを105mm延長したのも大きく影響。ロングホイールベースになったとはいえ、終始アンダーステア気味だったR32とは違い、アクティブLSD+アテーサE-TSの「アテーサE-TS PRO」や油圧から電動になったスーパーHICASなどの効果で、アンダーはかなり解消されている。

 ボディ剛性もR32に対し、ねじれ剛性を44%もアップ。とくにアンダーステア対策として、フロント周りは重点的に強化され、キャンバー剛性は35%、横剛性90%、キャスター剛性10%も高められている。

 エンジンは、0.06kg/cm2のブーストアップで、最大トルクが4.2%(1.5kg-m)増。ブレーキも、R33から標準車もブレンボ製になっているのはオイシイ!こうしたアップデートが功を奏して、R32のニュルのラップタイムを、21秒も短縮。このタイムに関しては、いろいろな取り方があるだろうが、それよりも注目したいのは、あのニュルでのアクセルの全開時間が15~20%も伸びたという点。

 ニュルで全開率が高いということは、高速域でのスタビリティ、旋回性能、ストッピングパワーが高い次元でバランスがとれていて、ドライバーとクルマの一体感が高いという証拠。第2世代GT-Rで唯一、ルマン24時間レースに参戦したことからも、その素姓の良さがうかがえる。

 さらに、R32、R33、R34の開発に携わった、“現代の名工”、日産のテストドライバー加藤博義氏の愛車が、R33GT-R(4ドアのオーテックバージョン)ということからも、“モノ”としての良さは分かるはず。

 そんな出来のいいGT-RであるR33が、比較的安価だとすれば、やはりこれは『買い』で間違いない。中古車の平均価格は、345万円ぐらいだが、R32と違って走行距離が短いタマが多いのが利点。R32は10万kmオーバーの個体が多いが、R33だと7~8万kmの個体がけっこう見つかる。

 第2世代で、一番室内が広く、リヤシートの居住性がいいR33は、じつは身体の大きい在日米軍兵などに人気があり、アメリカの25年ルールの対象となる2020年以降は、買い付け需要が高まり、一気に価格が高騰する可能性が大!

 そういう意味でも、価格が安定しているいまが買い時といってもいいだろう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

愛車
日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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