【試乗】レクサスESは誰が乗っても満足できる! 驚きの全方位性能を徹底リポート (2/3ページ)

version LとF SPORTはそれぞれに良さ! 悩ましい走りの考え方

 さて、冒頭で「すべての性能を満遍なく併せ持つ」という書き出しをした理由は、走りの味付けのバランスも優れるからだ。

 まず走り出しが、かなりスムースで、そのしっとり上質な感覚が妙に心地よい。とくにバージョンLの走り出しは、フラッグシップのLSをしのぐほど快適。要因は幾つもあるが、ひとつはロングホイールベースによりクルマ自体の揺れが少ないこと。そして、路面からの入力を的確に足まわりに集め、ダンパーを効率よく働かしている効果が大きい。

レクサスES

 この背景には、ESより初めて採用されたスイングバルブという、低速でも的確に足まわりを動かせる(減衰力を発生できる)オイルダンパーの採用がある。個人的には、このアイテムこそが、2018年でもっとも驚いた乗り味に好影響を及ぼすもの。

 そもそもオイルダンパーは、決められたオイル流入経路をオイルが流れる際の抵抗により、減衰力を発生させてクルマの動きを穏やかに収めるもの。高速領域も加味してオイル流入経路の形状を決めると、どうしても市街地走行など低速では上手く減衰力が出ない。それを打破するために、さまざまな仕組みが世にはあるが、レクサスESのスイングバルブは、100分の1mmのクリアランスを保ち円盤状のスイングバルブパーツを流入経路に組み付けることで、低速から高速まで見事な足まわりのしなやかで粘りのある動きが発生できている。ちなみに電子制御なども使わないので、ハンドルの操作フィーリングがスッキリしており、路面状況も掴みやすく、好みによるがFスポーツよりもスポーティに走りやすく感じる方が大勢いるはず。

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 また、バージョンLは、路面のつなぎ目などを超える際の、パコンとタイヤが叩かれて響く音がとても静か。これにより街中の走行がとても快適だ。ここにもカラクリはあり、パコンという突き上げ音は、タイヤ内部の空気で響き、ホイールからボディを伝って、車内に入る。もちろん車外から空気を伝って入る音もあるが、そこは当然のように防いでおり、若干ホイールは重くなるが、空洞部分をなくした消音効果の高い特殊ホイールを使用することで、ボディを介して伝達される音も、そしてタイヤ内部で共鳴する音も抑えこんでいるのだ。

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 まさにFスポーツも要らず、すべて豪華仕様のバージョンLで良いのでは? と思うところだが、ひとつだけ気になるのがクルマの揺れ。ロングホイールベースの効果と、どの速度域でも減衰力が的確に発生できるオイルダンパーにより、揺れは効果的に抑えられているが、速度が高い領域での“うねり”路面では、まだ若干FF特有のフロントだけフワフワと動く前後不調和感がある。目線がブレるし、体が前後に揺すられるし、旋回中にこれが起きると安定したハンドリング特性が得られなくなる。それも防いだ質の高い乗り味を堪能したいという方、そして当然ながら走りを予感させるスポーティ系のカッコよさが欲しいという方はFスポーツを選ぶとよい。

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 その乗り味は、各車輪の足まわりの硬さを自在に操れる電子制御サスペンションの効果により自由自在。流石に突発的なうねり路面や突き上げに対しては、電子制御サスペンションといっても受動的制御なのでフロントのフワフワとした動きは生じるが、収まりは速い。それにより走行ペースが速いときでもハンドリングが安定するし、車両の姿勢にフラット感がある。しかも、走行モードを変更すれば、ハンドルの重さに加えて、バージョンLではできない、電子制御サスペンションを使った足まわりの基本設定を強化することもでき、操作に対するレスポンスも上がるので、ロングホイールベースのFFで感じやすいハンドル切ってからの旋回姿勢が安定するまでのレスポンスも向上。気持ちよく走れる。

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 では、Fスポーツが良い! となりそうだが、二転三転申し訳ない……エンジンがバージョンLと相性がいいのが最大の悩みどころだ。ESが搭載する2.5リッターハイブリッドは変速ショックなどは機構として当然なく、そのうえ低速走行時はモーターのトルクもあり、静かで力強く速度コントロールもしやすい。さらにアクセルを踏むと、エンジンの力も加わり力強くどんどん速度が上がり、そこにストレスもなく、気がついたら速度が出ている、そんな上質な世界感に包まれる。

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 しかしながら、回転の上昇感などを含めて刺激や気持ちよさが若干薄いので、結果として、静かさを持ち合わせたバージョンLとの相性がいいと感じてしまう。燃費などは犠牲になるだろうが、スポーツモードを選択した際などは、もう少し回転上昇感などを過度なレベルで演出的に作ってくれたら、Fスポーツの世界にとても合うと思えたのだ。

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 Fスポーツでの刺激的な走り要素だけは若干残念ではあるが、それ以外は満点を挙げたいほど高い完成度に仕上がっているES。すでに、発売1カ月で月販目標350台の16倍に相当する5600台を売り上げており、日本でも好調に販売をスタートさせた。今後もその好調は続くだろうし、静かさや滑らかさや上質さの基準点を得るためにESに試乗し、同価格帯のクルマ選びの参考にするというのも、賢いクルマ選びとしてはアリだろう。

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