【試乗】新型NSXは情報がしっかりドライバーに伝わる! 2019年モデルは確実な進化を遂げた (1/2ページ)

ボディカラーに鮮烈なオレンジが加わり室内色も新色追加

 ホンダが世界に誇るスーパーカー、NSXが2019年モデルとして進化したという。そこで早速試乗の機会を得た。現行NSXがデビューしたのは2016年。その時は鈴鹿サーキット・フルコースが試乗コースとして設定されていたが、今回は一般道。ややストレスのたまる試乗となりそうだなと観念して出かけた。

 試乗会場に到着すると鮮やかなオレンジカラーの2019年モデルが迎えてくれた。このオレンジは「サーマルオレンジ」と命名された新色で、繊細なメタリックが折り込まれ、光の加減でメタリックカラーにもソリッドカラーにも映る奥深いペイントだという。F1でお馴染みのマクラーレンはオレンジをイメージカラーにしていて、僕もはじめはマクラーレン・オレンジかと思ったがそうではないらしい。

 だが個人的にはオレンジカラーは気に入った。細部をみるとブレンボのブレーキキャリパーもオレンジに塗装されており、カラーコーディネイトのバリエーションを増やしている。ボディカラーは全7色となり、ブレーキキャリパーも赤、オレンジ、シルバー、ブラックの4色が揃う。さらにインテリアカラーもレッドやホワイトベースのオーキッドなど新色が追加されて全5色、8バリエーションから選択可能と豊になった。

 外観的にはフロントグリルがメッキ華飾からボディ同色となったり、ドライカーボン表面剥き出しだったオプションのリヤスポイラーがクリア塗装されたりと小変更を受けている。

 視覚的に訴求される変更点は以上のとおりで多くはないが、走りや機能面ではどんな進化を果たしているのか、早速コクピットに乗り込む。

 インパネのデザインや使い勝手は従来どおり。ステアリングやシートなどにも大きな変更はないそうだが、ペダルやフットレストをアルミ製に変更したのが唯一の進化点だという。

 スタート/ストップボタンを押してシステムを起動する。デフォルトの設定は自分で選択できるが、クワイエットモードに設定しておけば早朝の始動でエンジンがかかって近隣迷惑になることもない。現状スーパーカーとしては希有な存在ともいえるハイブリッドシステムを備えるNSXならではの美点と言えるだろう。

 ドライブモード選択はコンソール中央に備わる大きなダイヤル式のアジャスターで行う。クワイエットから順にスポーツ、スポーツ+、トラックと4つのモードから選択できるが今回の試乗コースは一般道ゆえ、サーキット専用モードのトラックモードは使用しないよう指示されてしまった。

 市街地走行に推奨されるクワイエットモードは、走りはじめがモーター駆動によるEV走行となり静かでスムース。EV走行時のアクセル操作に対するパワーマネージメントは極めてリニアで扱いやすく、普通の乗用車として使用しても何の問題もない。速度やアクセル開度に応じてエンジンもスタートするが、エンジン音もマイルドで静寂さを保ち、始動時のショックも少ない。クワイエットモードではスーパーカーとしてのハイパフォーマンスを予期させることは起こらなさそうだ。

 市街地、高速道路ではスポーツモードの選択が推奨される。スポーツモードを選ぶとメーター内の表示が切り替わり、エンジンが主体的に駆動力を発揮。EVモーターはそれをアシストする制御となる。スポーツモードでは4000回転以下の中・低速回転域の使用がメインとなり、制御もそれに応じたものとなるようでスロットルレスポンスは低回転域でのピックアップが高めていた。

 ワインディング区間はスポーツ+が推奨され、エンジンサウンドは一段と野太さを増しスーパーカーらしい一面を発揮し出す。スロットルはさらにアクセルの奥深い踏み込み領域でリニアな特性となり、ハイスピードレンジでのドライバビリティを向上させていると感じた。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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