【試乗】新型NSXは情報がしっかりドライバーに伝わる! 2019年モデルは確実な進化を遂げた (2/2ページ)

車両姿勢変化の少なさと確実に進化したライントレース性

 ここまで走ってくるとサスペンションの動きにもチューニングが施されていることがわかる。段差や路面の継ぎ目通過時のショックはソフトにいなされるが、最初の当たりは強めだ。それが不快に感じず路面インフォメーションとして有益に伝わってくるようになったのがわかる。

 従来モデルのいなし方はアメ車的で、とにかくハーシュを押さえ込むことが主眼だったが、欧州車的に必要な情報は確実に伝え不快な振動は素早く収斂させる、という理想的な方向性に歩みだしている。これには磁性流体を用いた電子制御ショックアブソーバーのチューニングと新採用されたコンチネンタル・スポーツコンタクト6の専用タイヤが好作用しているといえるだろう。

 ワインディング区間でコーナーを一つ二つと抜けていくと、さらに進化の美点が強調されて伝わってきた。前後の車体ロールが押さえ込まれ車輛姿勢が常にフラットに保たれている。

 ステアリングレスポンスはクイック過ぎず、適度な操舵感でライントレース性がすこぶる高い。パワーオンオフを加えても不自然な挙動は一切起こさずフロント2モーターと電動パワーステアリングが見事に調教されている。

 車体後部のロールも少なく、太くハイグリップなリヤタイヤはしっかりと固定され安定したまま。前後の一体感も向上していて、まさに「人馬一体」の乗り味が得られているのだ。これこそがミドシップレイアウトスーパーカーの魅力といえる。フロントのスタビライザーを26%、リヤスタビライザーも19%強化したことが効果的に作用しているのだ。

 また、リヤコントロールアームブッシュを21%、リアベアリングハブも6%剛性アップしたことで、リヤタイヤの位置決めが正確さを増し、設計どおりに動くようになったようだ。

 結果ハンドリングは極めて高いアジリティを示すようになっていて、安定していながらも軽快。細かなコーナーを自在にライントレースしていく。モーターのアシストとエンジンパワーの協調性が高まり、リニアな駆動力特性とSH−AWDによる4輪駆動力配分およびトルクベクタリングが完成度を高め予期せぬ挙動は起こらなくなった。

 一般道でこれほどの進化を感じられるならサーキットでの実力はどれほどに高まっているのか。サーキットで全開アタックするのが大きな楽しみになった!


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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