大人の女性から寄せられた声に応えたスズキ・ラパン モードの開発エンジニアにインタビュー (1/2ページ)

ライバルがコンセプトを変えたことで指名買いが増えた

 女性をメインターゲットにしたレトロモダンな軽乗用車「アルトラパン」に、大人らしく落ち着いた印象の特別仕様車「モード」が設定され、12月6日に発売された。その狙いについて、アシスタントチーフエンジニアの渡邉 司(わたなべ・つかさ)さんに聞いた。

──2015年6月に現行3代目アルトラパンが発売されて以降、こういった女性向けのセダン型軽乗用車は、市場環境が大きく変化したと思いますが、直近の販売動向はどのように推移していますか?

渡邉:新型は発売された直後をピークとして、徐々に減っているというのが実態です。これをどう防ぐかは、どんなモデルでも課題になるのですが、ラパンはその落ち方が緩やかな方です。

──他社のモデルがキャラクターを大きく変化させましたが……。

渡邉:それが良い所であって、ダイハツさんの「ミラジーノ」から「ミラココア」に至るまで、ラパンとガチンコで勝負するような状態でした。それが「ミラトコット」となり、直接の競合ではなくなってくれたおかげで、ラパンの方に来てくれるお客さまが増えています。ダイハツさんは「ミラトコット」や「ムーヴキャンバス」といったモデルをラパンの外側に配置し勝負してきているので、それほど影響はない、というのが実態ですね。

──そうしたダイハツさんの戦略が、ラパンにとってはプラスに働いているのでしょうか?

渡邉:販売台数の落ち方が緩やかなのは、ラパン自身の力と同時に、ダイハツさんの「ミラココア」がなくなったことでラパンに来てくれるようになったこと、ふたつの要因があると思っています。もっとミニバンやハイト系にお客さまが流れて、セダン系がなくなってしまうかと予測していたのですが、意外にそんなことはなく、絶対量は少ないものの落ち方は緩やかなので、きちんとビジネスが成立する程度には売れ続けています。

──依然としてラパンのような直球の可愛いクルマに対する女性ユーザーのニーズは手堅くあるということでしょうか?

渡邉:変わっていませんね。しかも競合車がなくなったので指名買いが多くなり、売る方からすればラパンは買いに来ていただけるクルマになりましたね。販売の現場からは「商談が楽になった」との声もいただいています。

──それは、値引き合戦せずに済むようになって、良いことずくめですね。

渡邉:値引き合戦になると、商談に時間がかかりますよね。販売現場にとっては早く売れた方が助かるので、そういった意味でもラパンは魅力的な商品と言えます。


遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

愛車
ホンダS2000(2003年式)
趣味
ゲーム
好きな有名人
-

新着情報