ピーク時よりも30%以上減少! 「卒車」に悩まされ新車の売れない日本の販売現場の危機 (2/2ページ)

若者のクルマ離れと卒車の両面で苦しむ新車販売現場

 いま新車販売現場では、“卒車”といってもいい動きに悩まされている。

 残価設定ローンは、3年や5年後などについて残価率を設定し、当該車両の残価を算出して、その分は支払最終回に据え置きし、残りを分割して払っていくことで支払い負担を軽減するもの。支払最終回分の精算は、当該車両の返却や、再ローンで支払い続けることもできるが、同じメーカー系ディーラーで代替えすることでも精算することが可能となり、代替え客の囲い込みを狙って設定されている。

 しかし現場では、「とくに年配の方は車両を返却して、自動車自体の所有をやめるひとが目立っています」とのこと。いまどきの若年層は収入面や価値観の違いなどから、都市部を中心に“クルマ離れ”が顕在化しており、顧客の“高齢化”による、まさに“卒車”がディーラー経営を直撃しているのである。ローンの完済だけでなく、車検到来のタイミングや免許更新時期や免許証の返納などにより、とにかくクルマの所有をやめるひとが目立っているのだ。「運よく新車に代替えしていただいても、『これで最後だな』などと冗談交じりに話されるお客様がおられますが、こちらはある程度覚悟はしてしまいます」とのこと。

 とにかく、新車販売は今後明らかに好転することはまず望めない。ユーザーの高齢化による“卒車”が、若年層をメインとする新規ユーザーの流入よりはるかに多いのだから、ディーラーの管理顧客は減る一方となる。販売台数の伸び悩みだけでなく、顧客自体が減少していくところで問題は深刻さを増している。いまどきはどのディーラーも“他メーカー車の車検入庫大歓迎”などとしているが、それは管理顧客の減少傾向が目立ち、管理顧客の入庫数だけではやっていけないためである。

 さらに世の中のクルマへの興味も薄れている中、日本車を中心に最近のクルマは壊れにくくなっているので、平気で10年以上乗り続けてしまうケースも目立つ。“故障して走らなくなったから購入する”といったパターンも珍しくないので、新車の販売苦戦傾向は今後も続くだけでなく、より深刻化していきそうである。

 少子高齢化状況が改善の兆しすら見えないなかでは、人口減少傾向にも歯止めはきかないので、新車販売は出口の見えない苦戦傾向に入っていると言っていいだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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