明らかに健康に悪そう! いまだに地方で黒煙を上げる大型ディーゼル車が走っているワケ (2/2ページ)

DPF再生で黒煙を吹いているように見えることも

 つまり、現在のディーゼル車であからさまな黒煙を吐き出すようなクルマは大型トラックであっても見かけなくなっている……はずだが、そうでもない。前述のように南関東エリアなど規制の厳しい地区では古いディーゼル車は走っていないが、もともと商用車というのは100万kmレベルでの耐久性を考慮して作られている。ポスト新長期規制以前のトラックなどは現役で走れるのは不思議なことではない。

 しかも、大型トラックやバスは高価なだけに、おいそれとは廃車にできない。たとえば乗り合いバスなどは東京都では対策なしには走れなくなった個体が、そうした規制のない地方に流れているといった実情もある。そのため地方によっては、最新の排ガス規制をクリアしたディーゼル車と比べると、黒煙をモクモクと吐き出しているように見える車両が走っていることもあるのだ。そうはいっても、20世紀に交通公害が問題視された頃に比べれば、ずいぶんマシになっているのは事実だが。

 ところで、クリーンディーゼルに必須となっているDPFは、粒子状物質をキャッチするフィルターだが、徐々に目詰まりしてくる。そこで、ある程度溜まったところで燃焼させてDPFを再生する。この際に、黒煙が出ることがあり、その瞬間だけを目にして「黒煙が出ている!」と思うかもしれないが、それはDPF再生時に限った話であって、現在の技術では仕方のないことだ。その意味では完全なクリーンディーゼルには、まだ時間がかかるといえるのかもしれない。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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