2番手で何が悪い! トップになれないけど魅力溢れる愛すべきクルマ5選 (1/2ページ)

必ずしも商品力で1位にクルマに劣っているわけではない

 好調に売れるクルマは、多くのユーザーが愛用する以上、優れた商品と判断できる。

 しかし各カテゴリーの販売1位は、商品力だけでは獲得できず、販売力も求められる。またそのメーカーが扱うほかの車種の設計が全般的に古くなり、特定の車種に需要が集中して売れ行きを伸ばすこともある。

 そういう意味では、各カテゴリーの2位にも目を向ける必要があるだろう。

■軽自動車:スズキ・スペーシア(販売1位:ホンダN-BOX)

 2018年(暦年)の販売統計では、軽自動車の販売1位はホンダN-BOX(少数のスラッシュを含む)で、2位はスズキ・スペーシアであった。この1-2位は、国内市場全体の総合順位にも当てはまる。小型/普通車の1位は日産ノートだが、総合順位はホンダN-BOX、スズキ・スペーシア、日産デイズ&日産ルークス、ダイハツ・タントに次ぐ5位になるからだ。

  

 現行スズキ・スペーシアの室内空間は、ホンダN-BOXと比べて、ほとんど遜色はない。後席の頭上と足もとの空間も広く、4名乗車を快適に行える。背もたれを前方に倒すと座面も下降して、コンパクトに畳める。この状態なら自転車も積みやすい。フタの付いた収納設備はホンダN-BOXよりも多い。

 そしてスズキ・スペーシアは軽量化に力を入れたから、車両重量はホンダN-BOXよりも約20kg軽く、マイルドハイブリッドも備えるからJC08モード燃費が優れている。ホンダN-BOXは27km/Lだが、スズキ・スペーシアは28.2km/Lだ。運転支援機能はホンダN-BOXに負けるものの、機能全般で見ると見劣りしない。価格は同程度だ。

■コンパクトカー:トヨタ・アクア(販売1位:日産ノート)

 コンパクトカーの販売1位は日産ノートだが、日産のメーカー別販売台数順位は、トヨタ/ホンダ/スズキ/ダイハツに抜かれて5位だ。2011年以降の日産は新型車をほとんど発売せず、日産ティーダや日産デュアリスは次々と廃止した。

 その結果、日産車の売れ行きが下がり、日産ファンは乗り替える車種がなくなって日産ノートe-POWERに需要が集中した。日産車の商品力が全般的に下がった結果、日産ノートが小型/普通車の販売1位になる皮肉な結果を招いた。

 注目されるのは2位のトヨタ・アクアだ。後席の居住性は日産ノートを下まわって車間距離を自動制御できるクルーズコントロールも備わらないが、日産ノートe-POWERに比べると車両重量が100kg以上も軽く重心は低い。日産ノートe-POWERの走行安定性は、車両重量とのバランスから限界ギリギリだが、トヨタ・アクアなら余裕がある。後席が狭いからファミリーユーザーには不向きだが、5ドアクーペ的な運転感覚が楽しく、走行安定性も優れている。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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