フルモデルチェンジといっていいほどの改良を受けた新型三菱デリカD:5のパワートレインを詳細チェック! (1/2ページ)

低圧縮化&低フリクション化で進化した新ディーゼルエンジン

 新型デリカD:5には2.2Lディーゼルターボを搭載。エンジンは従来型同様4N14型だが、各部に大幅な仕様変更を受けている。

デリカ

 トピックとしては、新たに尿素SCRシステムを導入している。これは尿素水を排気ガスに噴射することで、NOx(窒素酸化物)を低減させるシステムで、排気ガスの浄化作用が大きい。従来の触媒のみでの浄化方法に比べ、燃料噴射量を減らすことができ、燃費性能が向上した。

 エンジン本体については、低圧縮化(14.9→14.4)に伴ってピストン形状を変更したほか、ピストン、コンロッド、クランクなどの軽量化を図り、フリクションを低減させている。これにより、ディーゼル特有の振動や騒音も軽減された。

 エンジン内部の主運動系部品(ピストン/ピストンピン/コンロッド/クランクシャフト)を軽量化。クランクシャフトはコンロッド側の軸受け部分を小径化し低摩擦の樹脂コーティングにより、フリクションを低減させている。デリカ

 燃料供給装置については、従来と同じコモンレール式だが、燃料を噴射するインジェクターを変更。インジェクターが作動した瞬間から高い圧力を発生させ、作動応答性を向上。従来のインジェクターでは、作動停止中でも燃料がリークする(燃料タンクに戻る)。そのため燃料の圧力が低下していたが、新型インジェクターではリークがゼロとなり、作動開始直後から高圧で燃料を噴射させることができる。デリカ

 こうした仕様変更の結果、エンジン最高出力は従来型に比べてやや低下したものの、最大トルクは20N・mの向上。しかも、より低回転から発生する。さらに、高回転まで高いトルクを維持するエンジン制御により、応答性に優れ、加速感が持続する“気持ちのいい”回転フィーリングを実現している。

 尿素SCRシステムは、高品位尿素水(AdBlue)を排気管内にインジェクターで噴射。排気ガス内のNOxを還元して浄化する。尿素タンクは荷室フロア下に配置され、注入も荷室から行なう。容量は16L(1万6000km走行が目安)デリカ

 新型デリカD:5のドライブトレインでは、トランスミッションの変更と、4WDの電子制御システムの最適化が主なポイントだ。

 トランスミッションは従来型の6速ATから8速ATに変更。ギヤ段数を増やすことで、カバーエリアを低速側で8%、高速側で18%増やしている。これにより低いギヤでより高い駆動力を発揮し、高いギヤでは燃費性能の向上に貢献。また、各ギヤのロックアップ領域を拡大し、加速力やダイレクト感を高めるとともに、エンジンブレーキが必要な減速時や下降路での駆動力を確保。さらに、アイドリングストップに対応すべく、内部にポンプを新設している。デリカ

 変速制御では、加速時にはディーゼルエンジンならではのトルク特性に合わせて変速ショックを抑えたり、減速時にはブレーキ操作に応じて自動シフトダウンのタイミングを変えるなど制御パターンを緻密・最適化。シフトダウン時に一時的にエンジン回転を高めるブリッピング機能も新たに採用している。マニュアルミッション車のように的確に変速できるATを目指した。デリカ

 4WDシステムに関しては、従来同様の3モード切り替え式の電子制御4WDだが、ハンドル角やヨーレートセンサーの情報を制御条件に加え、ドライバーのハンドル操作に忠実な車両挙動を実現している。


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