今やタクシーでも見かけない! かつて隆盛をほこったコラムシフトが姿を消した理由 (1/2ページ)

昔はマニュアルタイプのコラムシフトも多く存在した

 コラムシフトという言葉をご存じでしょうか。ステアリングコラムからシフトレバーが生えているレイアウトのことで、対義語となるのはフロアシフト(床からシフトレバーが生えていること)になります。1960年代くらいまではコラムシフトがスタンダードで、とくにアメリカ車では多く見られました。日本でも、タクシー用のコラムシフトは割合に最近まで見かけることがあったのではないでしょうか。とはいえ、コラムシフトは少数派です。どうして減ってしまったのでしょうか。

 コラムシフトのメリットは運転時において手の移動距離を少なくできる点にあります。マニュアルトランスミッションではシフトチェンジのたびに左手(右ハンドル車の場合)をステアリングからシフトノブに持ちかえる必要がありますが、コラムシフトはステアリングの奥にシフトノブがありますから非常にスムースにできます。

 ただし、シフト操作時に肩が浮き気味になってしまうなどドライビングポジション的にはデメリットにもなります。ただし、オートマチックトランスミッションでは、それほど頻繁にシフト操作をしませんから、そのデメリットはさほど気になりません。

 また、フロントシートを左右つなげたベンチシートでは物理的にコラムシフトを置く場所が確保できないのでコラムシフトを採用することになります。かつてのアメリカ車や、1990年代にベンチシートが軽自動車に流行したときにコラムシフトを採用するモデルが多かったのは、ベンチシートとコラムシフトがほぼセットだったからといえそうです。現在のトレンドではフロアシフトの位置にインフォテイメントシステムのコントローラーが置かれるなど、コクピットにおける各種デバイスのプライオリティが変わってきています。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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