【試乗】MHEVに先進装備! 8年ぶりに生まれ変わった新型レンジローバー・イヴォーク (3/3ページ)

SUVらしからぬ軽快な走りがP250の持ち味

 走行性能はズバリ、レンジローバーらしからぬ(!?)エンジンとステアリングのレスポンスの良さがもたらす軽快感とカジュアル感あるテイストだった。山道でもステアリングを切れば、間髪を入れずにノーズが反応。クイックと言えるほどキビキビした操縦性を、抜群のロードホールディング性能とともに発揮する。

 レンジローバーと言えば、しっとり重厚……そんな乗り味を想像すると、拍子抜けするほど軽やかで爽快だ。動力性能は大人の男性3名乗車+撮影機材の荷物でも十分以上。とにかく、トルキーというより軽快に加速する。

 乗り心地は、20インチタイヤの装着で、さすがに硬い。良路ではともかく、荒れた路面、段差でのショックは少なくない(とくに後席)。ロードノイズの侵入ボリュームも、例えばジャガーの最新SUVと比較すると大きめだ。それをスポーティ&カジュアルと理解するか、レンジローバーなのだからもう少し快適であってほしいと思うかは、これまでの車歴、イヴォークに何を望むかによって別れると思うが、個人的には後者、という印象だ。

 もう1台、試乗したのがトップレンジのR-DYNAMIC HSE P300、つまり、イヴォークのトップモデル、レンジローバー初のマイルドハイブリッド仕様だ。そもそも最高出力が300馬力もあるため、出足のモーターアシスト感はあるような、ないような、程度の感覚だが(実際にはある)、エンジンの濃厚でトルクフルな回転フィール、ステアリングのしっとり重目のタッチからして別物。さらに乗り心地にしても、レンジローバーらしい重厚でしっとりしたタッチを示してくれるのだ。

 つまり、見た目のスタイリッシュさに合うカジュアルが際立つSE P250、英国伝統のレンジローバーらしい走りの高級感さえ併せ持つHSE P300ということになる。悩ましいのは、HSEの価格はマイルドハイブリッドとはいえ、801万円に達すること。すなわち、レンジローバースポーツとイヴォークの中間に位置する、上級のレンジローバー・ヴェラールSとほぼ同じになってしまうのだ。

 ならば、今回はクローズドコースでの試乗となった、クリーンディーゼルターボのSE D180がけっこう狙い目かもしれない。180馬力で出力は穏やかながら、トルクはSE P250の365N・m/1500~4500rpmに対して、430N・m/1750~2500rpmと豊か。ドライブフィールはSE P250側に近いものの、エンジントルクがもたらす、レンジローバーらしい走りの濃厚感ではこちらが上のようにも思える。価格も667万円とSE P250の646万円と大きく変わらない。ちなみに価格にはテレインレスポンス2、ナビゲーション、360度サラウンドカメラなどの装備が含まれ、それはHSE P300とほぼ同等なのである。

 予算に余裕があり、デザインとレンジローバーらしい走りの高級感で選びたい! というなら、レンジローバー初のマイルドハイブリッド仕様のHSE P300を薦めたいが……。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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