ファミリーカーでも脱真円! クルマのハンドルに「D字型」が増えているワケ (2/2ページ)

ファミリーカーではウォークスルーがしやすいというメリットが

 一方で、1990年代前半にはカスタマイズアイテムとしてDシェイプのステアリングホイールがアフターパーツ市場に登場していた。レーシングカーを真似したというより、欧米の大柄なドライバーでもタイトなコクピットのスポーツカーに乗り込みやすくなる、というのがセールスポイントのひとつだった記憶がある。

 チルト機構がついていないことも多かった1990年代にはステアリング形状によって乗降性や操作性を改善したいというニーズがあったのだ。余談だが、筆者もマツダ・オートザムAZ-1のステアリングホイールをフラットボトムタイプに交換して乗っていたが、まさしく足とステアリングホイールの干渉を防ぐためだった。

 じつは、いまどきの市販車にDシェイプ形状が増えているのは、そうした足の干渉を防ぐという面がある。実際、日産セレナでは運転席からウォークスルーで後席へ移動できるが、その際に足とハンドルの干渉を防ぐためにDシェイプ形状を採用したという。

 ファミリーカーにまで広がっているDシェイプのステアリングホイールは、スポーティというよりも使い勝手の面でのメリットから合理的に選ばれた形状なのだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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