見つけたらタクシーマニア感涙もの! いまはほとんど見かけないタクシー専用車両5選 (2/2ページ)

三菱も熱いタクシー車両を揃えていた

3)三菱ギャランΣ

 三菱ギャランΣと名乗った最終モデルとなる、1983年に登場した5代目ギャランベースのタクシー車両も記憶に残るモデルであった。1987年に“インディビデュアル4ドア”というコピーとともに、車名からΣが消えた6代目、そして3ナンバーとなりV6エンジンを搭載して1992年に登場した7代目、さらにはギャランとしての国内最終モデルとなった1996年に発売された8代目がデビューしても、1999年までラインアップされ続けていた。

 一般乗用向けの5代目の生産終了後も独自に改良を続け、よりタクシー専用車両色を強めたモデルがとくに大好きだった。名古屋駅前の小型タクシー乗り場には比較的多くいつも着け待ちをしていたので、列の様子などを見ながらトヨタ・コンフォートを避けてよく乗っていたのを覚えている。

 筆者が乗るようになったのは5代目デビューからすでに10年以上経過したころであったので、少々古めかしく懐かしい雰囲気がなんともいえなかった。

4)三菱デボネア

 1986年にデビューした、2代目三菱デボネアベースのタクシー車両に乗った時のこともよく覚えている。仕事で千葉県某所の私鉄の某駅に降り立ち、そこからタクシーで取材先へ向かうのであったが、その駅前のタクシー乗り場にいたのが、デボネアタクシーであった。当時はすでに生産中止となったあとで、見た目にもかなり“やれた”印象の目立つ黒色のタクシーであった。

 乗ってみるとコラムATだったことにまずは大感動してしまい、サイクロンV6エンジンはLPガス仕様ながら、パワフルにそしてタクシーとは思えない静かさであった。シートもビニールレザーではなく、フカフカのモケットシートでまさにハイヤーに乗った気分であった。

5)トヨタ・クラウンセダン

 1995年に後継のクラウンコンフォートがデビューするまでの、クラウンセダンベースとしての最終タクシー仕様車も心に残る1台である。東京都内でほぼトヨタ系の中型タクシーは、クラウンコンフォートやクラウンセダンばかりが走り回るようになった2001年ころ、たまたま都内でタクシーに乗ろうとしたら丁度やってきたのが、かなり見た目もボロボロとなっていた130系クラウンタクシーが停まってくれた。

 すでにコンフォートに乗り慣れていた時期に、久しぶりにクラウンセダンのタクシーに乗り込むと、ソファに座ったような深く座り込むポジションとフカフカした着座感は、逆に新鮮な印象を受けた。コンフォートに比べるとロードノイズも少なく車内の静粛性も秀逸であった。X80系マークⅡプラットフォームベースのクラウンコンフォート系に比べ、伝統のペリメーターフレーム構造による、クラウン独特のぜいたくな乗り味を久しぶりに体感することで、在りし日のクラウンの偉大さを改めて考えさせられたのを覚えている。

番外編

 かなり珍しいところでは、トヨタ・ファンカーゴタクシーも印象深かった。道路端で手をあげてタクシーを停めようとしていたら、ファンカーゴが目の前に停車したので、邪魔だなあと思っていたらタクシーだったので驚いたことがあった。“パイプ椅子”のような後席は完全にタクシーには不向きで、短距離移動ならばなんとか我慢できるレベルだったので、なんでファンカーゴがタクシーになったのか悩んでしまった。

 想定外のタクシー車両だったので、視界に入っていても認識できなかったようだ。同じようなパターンで日産ティーノのタクシーも、目の前に停まっても、しばらくはそれがタクシーだとは認識できなかった。

まとめ

 法人タクシーに限って言えば、クラウンコンフォートが登場し、小型扱いのコンフォートが同時デビューするころになると、トヨタや日産以外でタクシー車両をラインアップしていたメーカーがタクシー車両の生産を順次やめるようになる。小型タクシーはコンフォートか日産クルー、中型はクラウンコンフォート(途中からクラウンセダンタクシーも追加される)か、Y31日産セドリック営業車にほぼ絞られるようになった。

 当時はタクシー車両の要件が厳しかったこともあり、車両が集約されていったのだが、いまではどんなクルマでもタクシー車両として使えるようになったので、JPNタクシーがメインとはいえ、そのほかにも法人タクシーでさえ、バラエティに富んだ車両のタクシーが街なかを走っている。

 “タクシーマニア”の筆者としては、タクシーに乗る楽しみが増しているといえよう。

※写真は一般乗用向け車両を含みます


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報