もはや誰も敵わない? タントを試乗したレーシングドライバーがN-BOXを最強と推すワケ (1/2ページ)

DNGAに基づくタントのシャシー剛性は凄まじい

 ダイハツ・タントがフルモデルチェンジを受け完全な新型に生まれ変わったというので試乗してきた。ボクはこれまで軽自動車のなかではホンダのN-BOXがダントツだと確信している。そして他社がN-BOXなみに競合車を仕立てるのは無理だろうとも。しかし新型タントはN-BOX以上だという噂を聞き、自ら確かめてみたいという気持ちになったのだ。

 試乗会は千葉県の木更津市周辺一般道だった。まずは簡単な解説を受けノンターボモデルから乗ってみた。タントの特徴はスーパートールデザインにあり、助手席側のBピラーを助手席ドア内に組み込むピラーインドアとし、前席ドアと後席スライドドアを同時に開くと大きな開口部が得られるミラクルオープンドアという仕組みを軽自動車として初採用したところにもある。一方で固定Bピラーがないことで側面衝突された際の乗員保護性能に不安も感じる。もちろんダイハツ側は側面衝突実験を繰り返し、基準を上まわる優秀な成績で安全性をクリアしていると力説する。そこはメーカーの言うことを信じるしかないが、やはり固定Bピラーのない側に大切な家族を乗せるのは気が引ける。

 走らせてみると、大幅改良されたエンジンがややノイジーだ。3気筒特有の作動音と振動が室内に入ってくる。従来モデルより遮音は進化しているが、回転を上げるとやや大きめに入ってくるのが気になった。ロードノイズはうまく押さえ込まれているので全体的には静かな部類に入る出来映えといっていい。

 シャシーはDNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)と呼ばれる新設計の高剛性フレームを採用。トヨタのTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)と同じ名付け方で、考え方もグループ企業として統一したようだ。このDNGAシャシーの剛性感がもの凄く高い。タイヤを含めサスペンションやバネ下は路面の凹凸に対し上下動を細かく起こしダンピングは弱めだが、シャシーフロアはガッチリしていて微動だにしない印象を受ける。コーナーでは重心が低く感じられ安定感も増したのはDNGAの効果といえるだろう。

 ただ動力性能はやはりノンターボでは物足りない。日常生活使用で近所への買い物や通勤や学童の送迎など近距離ユース主体なら問題ないが、家族4人で高速道を使って遠出をするとか、近距離でも山岳地の急な登坂路が多い地域では軽量化されたとはいえ動力性能面は不十分に感じるはずだ。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

新着情報