【試乗】マツダMAZDA2は名前の変更が霞むほどの大幅進化! 走りも装備もクラスを超えた上質さ (2/2ページ)

肝いりのシートは「人によっては」ファブリックのほうがいい!

 さて、最初に試乗したのは、1.5リッターガソリンエンジン+6速AT、110馬力、14.4kg-mの15S Lパッケージ、2WD。走行性能の進化で著しいのは、まずはステアリングのレスポンスである。

 今回はデミオと直接乗り比べることができたのだが、パワーステアリングのやや重目の操舵フィールに大きな違いはなかったものの、よりレスポンスに優れ、スムースで、ステアリングを切ると、今まで以上にスッと思いどおりにノーズが向きを変える、軽快で、速度、走行環境を問わない安定感に満ちた、マツダらしい人車一体感ある操縦性がさらに高まった印象を受けた。

 絶対的にコンパクトなサイズと最小回転半径4.7m~という軽自動車並みの小回り性の良さもあって、走りやすさ、運転のしやすさは、もう抜群と言っていい。

 そして、開発陣の説明どおり、新タイヤのパターンノイズは明らかに低減。とくに荒れた路面でのロードノイズが低まり、車内全体の静粛性が高まっていることが確認できた。エンジンそのものはキャリーオーバーだから、扱いやすい穏やかな加速性能にデミオとの違いは見いだせないものの、スッキリとした回転上昇感は依然、悪くない。

 一方、105馬力、25.5kg-m! を発揮するスカイアクティブD、1.5リッタークリーンディーゼル・シングルターボエンジンを搭載するXD Lパッケージ、4WDの走行性能は、走り始めた瞬間から、より上質で重厚、濃厚な走行性能、乗り心地を味わわせてくれることになる。

 この感覚はMAZDA6(旧アテンザ)、CX-3、CX-5、CX-8などのマツダ車でも同様で、とにかくクリーンディーゼルエンジン搭載車の仕上がり、走行性能が突出していいのである。その理由が、クリーンディーゼルエンジンの重さ(ガソリンエンジンに対して70~90kg増)がいい方向に作用していることと、MAZDA2の場合、2.5リッター車並みの25.5kg-mもの分厚いトルクである。

 そうそう、肝いりの新シートだが、試乗した2台が最上級のLパッケージで、レザー×スエード調表皮だったためか、表皮の張りが硬めで、MAZDA3の新シート(ファブリック)で感動した、お尻の心地良い沈み込みによる、骨盤が立つ絶妙な着座姿勢、サポート感、カーブなどでの上半身、頭部の揺れの少なさは、身長172cm、体重65kgのボクには感じ取れなかった。

 このあたりは、あらためてファブリックシートで検証したいところである(シートの設計基準は、欧米向けがAM50 175cm/75kg、日本向けはJM50 165cm/65kg)。

 スカイアクティブDモデルの価格は同グレードのガソリン車に対して22万円ほど高くなるものの、今のマツダ車に乗るなら、クリーンディーゼルエンジン! と言いたくなるほどの走りの質感の優位性がある。

 ただ、2.2リッターのスカイアクティブDの、大小2つのターボを使い分ける2ステージターボに対して、こちらはシングルターボ。マツダのクリーンディーゼルエンジンの中ではもっともディーゼルっぽさがあるエンジンだと思え、トルキーではあるものの、回転上昇感にはザラつきがあり、あまりすっきりしていない。

 MAZDA2のエンジン評価としては、すっきり爽(さわ)やかな加速フィールを望むなら1.5リッターガソリン、乗り味まで含めた上質感、加速性能で選ぶなら1.5リッタークリーンディーゼルとなるだろう。ちなみにガソリンとクリーンディーゼルのWLTCモード燃費は、2WD、6速ATで比較するとガソリンが19.0km/L、クリーンディーゼルが21.6km/Lとなり、極端には変わらない。

  

 なお、MAZDA2で内容が充実した先進運転支援機能をさらに拡大する「セーフティクルーズパッケージ」は、長く乗るつもりなら、必須のオプションとしたい。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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