【2030年までに死亡事故ゼロを掲げたSUBARU】クルマづくりの基本にある「0次安全」って何? (2/2ページ)

知能化により4次安全まで拡大する

 0次安全に続くのが「走行安全」。これはハンドリングやブレーキなどの動的性能を高めることで危険回避性能を高めようというもの。その上にあるのが「アイサイト」に代表される「予防安全」で、ぶつからないをサポートする機能だ。そして、もしアクシデントに巻き込まれてしまったとしても乗員を守り、他者とのコンパチビリティも含めた「衝突安全」にも並々ならぬこだわりをもって設計している。もっとも「走行安全」、「予防安全」、「衝突安全」というのは、どのメーカーでも意識していること。その前段階から安全を考慮して車体パッケージを考えている(=0次安全)ことがスバルの特徴だ。

 さて、先日スバルは「SUBARU技術ミーティング」をメディア向けに開催。各種技術のロードマップを示した。そのなかには総合安全思想についての将来展望も含まれていた。0次安全においてはドライバーモニタリングシステムを活用して乗員の状態を認識する性能を向上させることで、体調不良などの突発的な事象にも対応すべく考えているという。

 車両運動制御技術の向上による走行安全のレベルアップも目指す。予防安全では、画像認識性能の向上を愚直に進めていくという。衝突安全においてはサイクリストを考慮したエアバッグといった新デバイスの開発が進んでいることも発表された。

 さらに、4次安全というべき新しい段階のアイディアも提示された。それが「つながる安全」だ。事故によってケガをした場合、AACN(緊急自動通報)やインフラ協調を利用して、可能な限り早く治療をはじめる体制を整備することで、死亡事故を減らすことができるとスバルは考えている。なにしろ『2030年までにスバル車にかかわる死亡事故ゼロ』という高い目標を掲げているのだ。単なるスローガンではなく、スバルは本気で死亡事故ゼロを目指している。

 そうした進化する総合安全思想のベースといえるのが「0次安全」。視界の良さという表面的な状態だけでなく、安全に注力しているフィロソフィーの原点ともいえる言葉だ。こうして生まれた高い安全性能がSUBARUというブランドの価値をさらに高めている。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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