支払い切れない請求がくる可能性大! それでもクルマの任意保険が義務化されない理由 (2/2ページ)

車両保険を省けば保険料を抑えることができる

 事故を起こしてしまうと自分の愛車も傷んでしまうわけだが、その修理費用をカバーする「車両保険」も任意保険には含まれる。そのほか同乗者のケガを補償する搭乗者傷害や、事故処理についてもめたときの弁護士費用をカバーする弁護士特約などもある。当然、補償範囲を広げれば保険料は高くなってしまうので、予算との相談となるが、このように任意保険はそれぞれのドライバーが自分で考えて、ある程度は内容を決めることができるというのが自賠責保険との違いだ。

 また、自賠責保険は基本的に同じカテゴリーのクルマであれば定額だが、任意保険は加入者の年齢や車種、住居エリアによって保険料金が変わってくる。とくに若者はリスクが大きいということで保険料が高くなる傾向にある。そのため、最初は車両保険(これが保険料金を跳ね上げる原因のひとつ)を省くという手もあるが、事故で潰してしまう可能性も高い時期なので、そのあたりは車両価格とのバランスをよく考えて判断したい。

 自賠責保険と任意保険、二つの保険があるのはわかりづらい面もあり、「すべて強制保険にしてしまえばいいのに!」 と思うかもしれないが、結局は強制保険では補償しない範囲をカバーする保険商品は登場するものなので、仮に強制保険の内容を変えても任意保険が消えるわけではないだろう。

 すべて任意保険にしてしまうと、今度は無保険で走るクルマが増えるという問題もある。法律で義務化している自賠責保険であっても未加入の車両は存在するほどなのだ。

 車検のあるクルマであれば車検時に自賠責保険の加入が必要だが、車検の不要な原付などの二輪では自賠責保険が切れてしまっている(ナンバーのステッカーでわかる)車両も少なくない。四輪車で車検切れのまま走らせえるというのが言語道断だが、そうしたクルマは当然ながら自賠責保険に未加入状態なことがほとんどだ。

 というわけで、自賠責保険には最低限の被害者保護を行なうという位置付けだ。それ以上を求めるのであれば、任意保険でまさしく任意に補償範囲を設定するという、いまのやり方はベターといえる。

 なお、任意保険の保険料については各社で異なる部分もあるが、自賠責保険は金融庁マターなので、どこの保険会社で加入しても同額。さらに、ここ数年交通事故が減っているという話題を耳にすることも多いだろうが、2020年4月から自賠責保険の保険料が平均16.4%も引き下げられることも決まっている。けっして上がり続けているわけではなく、保険収支を鑑みて見直されている。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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