2代目スズキ・ハスラーは新型NAエンジンを搭載! 見た目以上に進化を遂げたメカニズムを徹底解説 (2/3ページ)

目指したのはクラストップレベルの快適さと走行パフォーマンス

 新型ハスラーのボディには、走行性能はもちろん、快適性や居住性、そして安全性を高めるために、新プラットフォーム「HEARTECT」が採用された。従来のプラットフォームに比べて、骨格同士を滑らかにつなぐことでシンプルな形状としながら、主要な部品の結合部の剛性を高めることで、補強部品を減らし、基本性能を高めつつ軽量化を実現した。

 新プラットフォームはホイールベースが従来型より拡大されているため、アッパーボディにも、より高い剛性が要求される。新型ハスラーのようなボックス形状のボディでは、ルーフパネル、サイドパネルともに前後方向に長くなり、ねじれやすくなるためだ。

 そこで、ボディ骨格には環状骨格構造を採用。サイドドアやバックドアなどの開口部だけでなく、センターピラーからフロア部分も環状骨格とすることで、ボディ全体の剛性を向上させた。また、適所に構造用接着剤を用いることで、パネル接合部のすき間を減らし、ボディパネルの連続性を高めている。

 従来の短間隔のスポット溶接部分の一部を接着剤に置き換えることで、必要な剛性を確保しながら、ボディ全体を軽量化することに成功した。ボディパネルの連続性を高めることは、ボディ全体の一体感につながるため、操縦安定性や乗り心地の向上に必要な要素である。

 そして、ボディ剛性だけでなく、遮音性や防音性も高めた。本来、ボディの小さい軽自動車では骨格部品の断面積も小さくなり、静粛性の面では登録車よりも不利だが、「すべての席で家族や仲間と会話できる」を実現すべく、フロアやダッシュパネル、ボンネットフードなどに遮音材やサイレンサーを配置。

 さらに、従来比で2.5倍という減衰性能を持つ高減衰マスチックシーラーを軽自動車として初めてルーフパネルとルーフメンバーの接合部に採用。これによりルーフパネルの振動を抑制し、吸音性能を有するルーフライナーの効果と合わせて、こもり音・風音・雨音を低減。前席、後席ともに中速走行および高速走行時の会話明瞭度が高められ、快適で静粛性の高い室内空間を実現しているのだ。

 サスペンションに関しては、フロントがマクファーソンストラットで、リヤが2WD車はトーションビーム、4WD車がI.T.L.式となっている。サスペンション形式そのものは先代ハスラーと同様だが、操縦安定性や乗り心地を向上させるために、各部の仕様が変更されている。

 まず、サスペンションフレームの構造を変更し、ボディに取り付けたときの剛性を高めることで、サスペンション全体を高剛性化。ダンパーに取り付けられたバンプストッパーの形状および材質を変更することで、乗り心地を向上させている。さらにステアリングギヤボックスの取り付け方法を変更し、優れたハンドリング特性を実現。ステアリングパッドダンパーやパワーステアリング機構のハンドル戻り制御により、操縦安定性を向上させている。

 サスペンション全体のセッティングの方向性としては、ややオンロード指向にシフトしている。先代ハスラーは、スズキの軽自動車としてはジムニーに次ぐオフロード性能を持たせるべく、ストロークを大きく取り、車体がゆったりと上下動するような動きだったが、そのため、オンロード走行時にはややフワフワした乗り心地と感じられることもあった。そこで、必要なストロークは確保しつつ、日常使いでの安心感を高めるべく、上下動が小さくなるようセッティングを見直した。

 セッティングの種類としては、NA車とターボ車で車重に大きな差がないこともあり、両者で共通。ただし、2WDと4WDではリヤサスペンション形式が異なるため、それぞれ別々の仕様となっている。タイヤサイズも先代ハスラーと同じで、軽自動車用としては直径が大きい165/60R15となっている。


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