通行帯の整備だけではどうにもならない! 自転車対クルマの事故が減らないワケ (2/2ページ)

「自転車は軽車両である」という意識が低い

 相手が歩行者でもクルマであっても、交差点内の事故が多い傾向にあることは、自転車側に、交差点で安全を確認して慎重に横断または右左折しようとする意識が低い傾向とみることができる。

 自転車の愛用者は、歩行者の延長と思っている可能性がある。したがって、自ら法規を守ったり、相手を気遣ったりしようとする意識も低いのではないか。そしてクルマのほうが自転車を守ってくれるはずだとの思い込みもあるかもしれない。

 軽車両であれば速度制限もクルマと同じように守る必要があるが、ことに路地などではかなりの速度で走り続ける自転車もある。

 また夜間はライトの点灯が道路交通法で定められており、それには、前方10mの障害物を確認できることとの規定がある。つまり、点滅するライトでは、瞬間的とはいえ消えている間は10m先の障害物を発見し損なう懸念があり、つまり無灯火と同じ扱いになる。

 クルマとバイクの接触事故もあとを絶たないが、それでも、バイクが昼間もヘッドライトを点灯するようになってずいぶん事故が減り、国土交通省の道路運送車両法でエンジンが掛かっているときにはライトが点灯する構造を求めている。

 照明の性能によって日中はバイクのライトほど効果があるかどうかはわからないが、少なくとも、夜間に自転車がライトを正しく点灯することは、クルマとの接触事故を回避する役に立つだろう。また、自分は歩行者と同じなのではなく、軽車両であること、また車道の左端を走ること、それによって右折は二段階右折になること(クルマの右折レーンからの右折はできない)を、きちんと理解することが、自らの命も守ることにもつながるはずだ。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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