さあ旅路へ! ルノー・カングーに乗って夢見る「一歩上ゆく」アクティブな生活 (1/2ページ)

ルノー・カングーを目の前に気持ちが昂る

 そこにあるだけで生活が豊かになる、そんな気持ちになる「モノ」は確かに存在する。いま風にいえば「アガる」とでもいうのだろうか? ただひたすらに求めた機能などではない。多少洗いづらくても飲み物が美味しそうにみえるカップであったり、瞬時に時間が認識できないが常に腕に巻いておきたくなる時計であったり……。それは人それぞれであろうが、私にとってルノー・カングーもそんな存在であったりする。いや、実際に所有することは叶っていないのだが、カングーがある生活は容易に想像できるのだ。

 いま、コロナ禍で自粛ムードが漂い、リモートワークが進む世の中、私とて例外じゃない。十分に気を付ければ、自宅以外の娯楽を味わうこともできるのだが、どうにも気持ちが上向かない。そんな時、カングーに乗る機会に恵まれた。まる一日、好きなところへ乗っていっていいというのだ。もちろん仕事の一貫ではあるのだが、まったくそんなことを意識せず、ここ数カ月続いた浮かない気持ちがウソのように、このクルマで出かけたくなる。さて、何をしようか? どこへ行こうか? 山ほど浮かんでくる。気温も上がってきた今、海が見たい。細かいことはさておき、最小限のスタッフに別のクルマで付いてくるよう指示し、早朝から走り出した。

 じつはカングー、以前WEB CARTOPのスタッフカーとして、1年ほどドップリと付き合ったことがある。今回はじつに2年ぶりのドライブだ。そうはいっても、独特のインテリアに包まれる運転席に座れば、もう何一つ迷うことなく操作できる。「一度自転車に乗れた人は、久しぶりでも自転車に乗れる」というのとは違う。デザインも操作系もオリジナリティ溢れるカングーがゆえ、各部の操作が忘れられない記憶として残るのだと思う。

 自宅のある市街地からスタートし、高速で海を目指す。パワフルではないが十分なトルクを示す1.2リッターターボエンジンは、ドライブに何のストレスも与えないことはもちろん、ツインクラッチの6速EDCと合わさることで、テンポのよい走りを実現する。カングーは凡庸なミニバンとは違う。走りに飽きを感じさせることがないのだ。

 だが、ひとつ断っておくと、走りのギクシャクさを無理矢理「味」として魅力的に語るようなクルマではない。カングーを前に走りを「評価」することなど、野暮に思えてしまうけれど、路面のギャップをシッカリといなし、刻々と変化する路面に対してタイヤの接地性変化が少ない完成度の高いサスペンションをもっている。パワートレインだってそうだ。じつにスムースかつタイムラグのない変速を行うトランスミッション、必要なときに右足の動きに呼応して十分な加速力を与えてくれるエンジンなど、移動する道具としての機能は極めて高い。だからこそ出かけたくなるのだ。楽しいが、行き先のプランを綿密に練る必要があったり、乗り出すことにちょっとした気合いが必要なクルマとは違う。


石田貴臣 ISHIDA TAKAOMI

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愛車
トヨタ・エスティマ(MCR30)
趣味
読書(ミステリーが主)、TVでのサッカー観戦(バルサ/PSG/アルゼンチン代表/UCL全般)、映画鑑賞
好きな有名人
リオネル・メッシ、アラン・プロスト、綾辻行人、有栖川有栖、田中 瞳

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