メーカーのアピール足りないぞ! 「超優れもの」なのに普及しきれないクルマの隠れた「名装備」5つ (2/2ページ)

高額なクルマにしか採用されない装備も普及してほしい!

3)リヤシートヒーター

 続いて、ちょっと贅沢な装備でもありますが、ハイブリッド車など電動化が進んできたら普及するのでは、との期待を込めてリヤシートヒーターです。最近は軽自動車でも、前席のシートヒーターは多くの車種で上級グレードに標準装備されるようになってきました。でも後席はまだまだ、トヨタ・クラウンなど一部の車種だけです。

 ミニバンのように後席を使う人が多いと思われる車種には、どんどん装備してほしいなと思うのです。大きな室内空間で、冷え切った車内をエアコンだけで温めるのはかなり時間がかかり、送り迎えなどチョイ乗りの時は温まる前に到着してしまうほどですよね。これが、すぐに温まるシートヒーターがついているだけで、後席に座る人の快適性がかなりアップすると思うのですが、どうでしょうか。しかも、お尻からじんわりと温めるほうが、身体の芯から温かくなることがわかっているため、エアコンの風量を弱めにすることもできると思います。これなら燃費低減にも効果ありそうですよね。

4)分割オープン式バッグゲート

 次に、20年前くらいまでは多かったのですが、その後廃れてしまい、数年前からまた少しずつ出てきた感のある、分割オープン式バッグゲートです。現行モデルでは、メルセデス・ベンツ Vクラスや日産セレナのように、上下半分のところから上だけ開閉できるタイプと、ホンダ・ステップワゴンのようにサブゲートが付いているタイプがあります。

  

 こうした分割オープンタイプのメリットは、やはり狭い場所でも開閉して荷物の出し入れができること。最近はとくに、低床化が進んでどんどんバックゲートが大きくなっており、軽自動車でもバックゲート全体を開閉するにはかなりの振り出し幅が必要です。立体駐車場で天井がある場所や、壁ギリギリにつけて停めなければいけない場所などで、バッグゲートを開けるのはけっこう気を使いますよね。

 ステップワゴンの場合はそのほか、スライドドアが開けにくい場所でサブゲートからの乗り降りができたり、ベビーカーをそのままサブゲートから積み込めたりと、いろんな使い方ができるのが魅力です。ただ、コストがかかるでしょうし、衝突安全基準をクリアするのも大変でしょうから、なかなか普及が進んでいません。買い物などでのチョイ乗りが多いコンパクトミニバンや軽自動車にもぜひ、採用されたらいいなと思います。

5)後席の読書灯

 最後は、スマホやタブレット、携帯ゲーム機器などがこれだけ普及している世の中ですから、後席の読書灯ももっと普及するべき。VIPが乗るような高級車には、後席左右を照らしてくれる専用の読書灯が付いていますが、コンパクトカーや軽自動車にはほとんど付いていないと思います。

 暗い中で、スマホやゲーム機の画面を見続けるのは、眼にいいわけがないですよね。かといって、室内灯をつけると運転しにくいと感じるドライバーもいるので、せめぎ合いになってしまうのではないでしょうか。後席の読書灯も、天井から照らすものでなくても、手元の画面が明るく照らされればいいのですから、時代に合った新しいタイプの読書灯が登場してもいいくらいですね。

 というわけで、どんどん便利になるクルマですが、そのなかでもなかなか普及しない隠れ便利装備をご紹介しました。自動車メーカーの開発者にこうした話をしてみると、「アイディアはあるのですが、コストが……」という悩みもよく聞こえてきます。ユーザーが本当に必要としている装備をしっかりと汲み取って、ぜひ普及させてほしいですね。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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