ハイオクの「銘柄」指定は無意味だった? 性能も含めて「謎」が噴出の「ガソリン」の世界 (2/2ページ)

シェルだけは独自ルートでの出荷を明言

 しかし、今年6月に毎日新聞が『ハイオクガソリン、実は混合 独自開発のはずが…20年前から各地で』と報道。7月17日には、業界団体「石油連盟」の杉森務会長(ENEOSホールディングス会長)が記者会見し、(ハイオクガソリンも)「共同の油槽所(貯蔵タンク)の利用やバーター出荷などにより、他社から調達したものを自社製品として供給することがあるのは事実だ」と認めた……。

 そのうえで、「各社は他社から調達した場合も含めまして、自社が供給しているすべての製品について、お客様に保証している性能を満たすように品質管理、保証をしています」と釈明しているが、要はハイオクもレギュラーと同じく、ブランドごとの違いはないということ。なお、Shell V-Powerだけは、バーター出荷を行わず「独自ルートで供給している」と答えている。

 さらにコスモ石油とキグナス石油は、ハイオクガソリンの性能表示に景品表示法違反の疑いがもたれ、ホームページなどを訂正……。

 従来は、「エンジン内部の汚れを取り除く清浄剤が添加」(コスモ石油)、「エンジン内部にカーボンなどの汚れをキレイにする働きがある」(キグナス石油)とあったのが、それぞれ「エンジンをきれいに保つ添加剤が加えられている」「エンジン内部のカーボンなどの汚れを付きにくくする働きがある」などと訂正。

 両社とも清浄能力を“盛った”表現をしてきたわけだが、今度の事件によって、ハイオクもレギュラーもブランドごとに成分や品質に違いがないことが明らかに……『品質は保証する』といわれても、ユーザーとしては、裏切られた感はぬぐえない。

 石油元売り業界は再編が進み、生き残りをかけて大変だというのはわからなくもないが、苦しい時期だからこそ「暖簾の重み」が大事にしてもらいたいところ。

 そうしたなか、性能の違いまでは分からないが、Shell V-Powerの独自性は光っているといえるだろう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

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