セダンの復権を狙うがあえなく撃沈! 1代限りで消えた「残念な」21世紀のチャレンジャー4選 (2/2ページ)

グローバル戦略モデルも登場したが付け入る隙がなかった

3)ホンダ・フィットアリア(2002~2009年)

 5ナンバーサイズのセダンというニーズは、けっして多くはないものの今でも存在しているが、正直言ってそのニーズはトヨタ・カローラアクシオが一手に引き受けるカタチで他社の付け入るすきはないといえるのが実情だが、ホンダは手を変え品を変え、名前を変えてチャレンジしている。現在は「グレイス」というモデルをラインアップしているが、それ以前のチャレンジャーが2002年に登場した「フィットアリア」だ。

 海外では「シティ」の名前で売られているモデルのリネーム版で、生産はタイというグローバルモデルだった。大ヒットしたフィットの名前を冠した5ナンバーセダンは、当然ながらメカニズムもフィット譲りで、エンジンは1.3~1.5リッター、トランスミッションはCVTという日本市場では本流という内容だったが、芳しい結果を残すことなく一代限りで消滅している。ちなみに2020年になって日産からSUVの電気自動車「アリア」が登場しているが、英語の綴りはフィットアリアが「Aria」なのに対して、日産のほうは「ARIYA」と異なっていたりする。

4)スズキ・キザシ(2009~2015年)

 21世紀に登場したセダンで、一代限りで消えてしまったモデルといえば、おそらく多くの自動車好きの頭のなかに思い浮かぶのが、このモデルだろう。そう、スズキの3ナンバーセダン「キザシ」である。2.4リッターエンジンをフロントに横置きしたFWDプラットフォームを基本に、4WDも設定されたキザシは、日本だけでなく北米や中国市場にも投入されたグローバルな戦略モデルだ。そのヨーロピアンなたたずまいからマニアの評価も高く、またスイフトにも通じる筋の通った走り味も高い評価を受けたが、そもそもスズキの3ナンバーセダンを買うという市場が小さく、ビジネスとしては成功したとはいいがたい。

 結果として警察車両(いわゆる覆面パトカー)として大量導入されたことが目立つようになってしまった。なお、スズキ全体の戦略として現在では北米、中国とも四輪販売から撤退。キザシの後継モデルが登場する気配も感じられないというのが現状だ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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