自粛警察の「餌食」だけが理由じゃない! 罰則はなくても「引っ越し」たらナンバーを変えるべき

「使用の本拠の位置」の申請・変更は法律で定められている!

 収まる気配がない、新型コロナ禍。県をまたいでの移動は自粛するよう要請が出されている。そこで話題になるのが県外ナンバーへの嫌がらせ。「コロナを持ち込むんじゃない」といういいがかりで、いわゆる自粛警察の登場だ。確かに遊びでの移動は控えるべきで、どう見てもレジャーだろうという他府県ナンバーのクルマは都内でもたくさん見かける。しかし実際は不要不急以外の人も多くいて、仕事で移動しなくてもならない人にとってはクルマのほうが安全だし、単身赴任の足として自家用車を使用するということもあるだろう。

 ただ、自粛警察うんぬんではなく、ナンバーをそのまま使うのは法律違反。車検証の裏を見ても書いてあるように、住所などの記載に変更があった場合は手続きが必要で、15日以内に行わなくてはならないと定められている。罰則がないため手続きをしない例は多く、単身赴任などでは、どうせまた元いた場所に戻るからという理由でそのままにしてしまう人が多い。ただ変えないと、税金の支払いや現地でもし売却する時に別途書類を取り寄せが必要になるなど不都合もある。

 さらに地元の交通ルールを知らないクルマだと認識されることも。たとえば東京の首都高だと、流れに乗れるのかと思われたりすることもある。そもそも実質は地元なのに、ナンバーが違うというだけで自粛警察の被害に遭うのもデメリットのひとつと言っていい。

 単身赴任で変更しなくてはならない項目は「使用の本拠の位置」。見てわかるように、住んでいるところがクルマを使っている現在の本拠となるわけで、法律的な定義も「実際に生活している住所」としている。基本的には車庫証明を取って、地元の陸運事務所に車両ごと持ち込んで手続きすれば、車検証の記載が変更され、地元ナンバーが発行される。時間もかからないし、手続きも自分でできるレベルだ。

 面倒なのは、ナンバー変更同様にしばらくすると戻るからということで住民票を移していない場合や、移したくても住宅ローンなどが理由で移せないとき。車庫証明を取得する際、実際に住んでいることを証明する必要がある。つまり、使用者が住んでいる場所と駐車場が同じ、もしくは近くというのが原則なので、これが引っかかるわけだ。この際は、公共料金の領収書などを添付すればよく、車庫証明が発行されれば、車検証の変更時は問題とされない。

 面倒と言えば面倒だし、費用もかかるので、変えないでそのままにする気持ちはわからないでもない。ただ、法律的には申請・変更する必要があるということは知っておいてほしい。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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