【試乗】日産キックスは走りも実用性も十分! 進化したe-POWERのゆとりが生むクラスを超えた動力性能 (2/2ページ)

SクラスSUVとは思えぬ動力性能が魅力

 またノートe-POWERは常に充電を優先する制御だったが、キックスでは35km/h以下の低速走行時には可能な限りエンジンを始動させない制御に改められ、バッテリーの能力を最大限使うプログラムが採用された。市街地走行では多くの場面をEVモードで走行できることになる。ドライビングモードスイッチにはEVモードという項目はないが、エンジンが停止しているケースをEVモードと定義して走行している。

 デフォルトの標準モードからドライビングモード選択スイッチを切り替えてECO(エコ)、S(スマート)の2モードを選択できる。両モードともブレーキ回生が強まりワンペダル走行が可能となる。慣れないうちは標準モードで走行し、ワンペダルになれたらドライビングモードを選択するとよりe-POWERの能力を発揮できるわけだ。

 さらにチャージモード&マナーモードを備える。チャージモードは文字どおりエンジンを始動してバッテリーを常に充電しながら走行するモードで、マナーモードはなるべくエンジンの始動を抑える市街地走行モードとして区別している。これらはデフォルトモードでは作動せず、ドライブモードのECOかSを選択しておく必要があった。

 さて走行フィールだが、ノートe-POWER同様に走り始めから力強いトルクが発揮され、Sクラスとは思えない動力性能が魅力だ。ノートe-POWERに比べ、バッテリーの出力制御とエンジンの出力アップで最大トルクは2%、50〜100km/hの領域で19%出力アップし、高速道路の追い越し加速など高速走行性能が高まった。

 またタイヤサイズが205/55R17へと拡幅されるなどノートe-POWERから大きく強化された。それに伴いサスペンションは、アーム類を強化しウレタン製ブッシュを採用するなど走りの質感を大幅に高めている。走らせてみれば確かにヴェゼルやC-HRがライバルなのだなと実感できる。

 足もとの広い後席やゆとりあるラゲッジスペースの広さなど実用性も高いことがわかった。

 今後はさらに本格的なSUV性能を求めて4WDモデルの追加も見当しているという。その時は現行ノートe-POWERのような発進アシスト用ではなく本格的な4WDシステムを目指すというので楽しみだ。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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