目標を下まわるまさかの「販売不振」にあえぐ現行国産SUV3台と「売れない」理由 (1/2ページ)

外観や積載性、割安な価格がそろうSUVは好調に売れている

 最近はSUVが人気だが、その理由は大きく分けて3つある。まずは外観のカッコ良さだ。SUVは悪路を走るクルマとして誕生したから、大径タイヤを装着して車高も高い。この存在感が人気を集めた。

 2つ目は広い室内と優れた積載性だ。ボディの上側はワゴンスタイルだから実用性も高い。

 3つ目は割安な価格。今のSUVは乗用車とプラットフォームを共通化するため、外観がカッコ良く、実用性も高い割に価格を抑えている。

 この3つの要素がそろえば好調に売れるし、欠落した部分があると売れ行きを伸ばせない。

1)ホンダCR-V

 人気が低迷するSUVの代表はホンダCR-Vだ。CR-Vは一時的に販売を中断していたが、SUVの好調な売れ行きに対応すべく、2018年8月に現行型で復活した。この時点で1カ月の販売目標を1200台に設定したが、2019年の1カ月平均は1087台だ。発売の翌年には早くも目標台数を下まわった。2020年1〜7月は477台にとどまる。コロナ禍の影響も受けたが、ライバル車のトヨタRAV4は同じ時期に4597台を登録したから、CR-Vは10%程度になる。

 CR-Vにとって一番の敗因は、先に挙げた3項目のうち、機能や質感の割に価格が高いことだ。各種の安全装備からカーナビまで標準装着するが、1.5リッターターボを搭載する価格のもっとも安いEXでも336万1600円だ。トヨタ・ハリアーやマツダCX-8などと同等になる。

 その割に内外装の質は低い。たとえばインパネのステッチ(縫い目)は、コンパクトSUVのホンダ・ヴェゼルが本物の糸を使うのにCR-Vは模造だ。木目調パネルの質感も含めて、300万円を超えるSUVとしては不満が散見され、売れ行きも下がった。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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