コロナ禍で露わになったメーカーの販売実績「差」! 明暗を分けたのは「コミュ力」だった (2/2ページ)

新規顧客の呼び込みよりも既存ユーザーとの信頼関係が重要

 スズキはダイハツと並んで業販(町のモーターズなど販売協力関係にある業者による販売)比率が高く、ダイハツよりも業販が得意なことが大きく影響しているようだ。業販店のなかには、スズキとダイハツ車と両方を扱っていることも珍しくないが、スズキのほうが業販店へのビジネス以外においても、フォローが手厚いとも聞いており、スズキ車を優先して販売する業販店も多いと聞いたことがある。業販店の多くは、“オピニオンリーダー”的な存在となっており、業販店のアドバイスを信じて購入するお客や、普段の関係から的確に新車を買いそうな客へのアプローチができていることが大きいようだ。

 現場のセールスマンも、「現状では、まったくフリーで新車購入を検討しているお客様のご来店は期待できません。いまのようなある意味非常時には、積極的に新車を売りに行けるお客様をどれだけ多く抱えているかが勝敗を分けますね」と話してくれた。

 新型コロナウイルス感染拡大予防という観点もあり、 各ディーラーが“リモート商談”に力を注いでいるが、前出のセールスマンは「新規顧客の開拓には有効かもしれませんが、それがいますぐメインになることはないでしょう」と冷ややかに語った。“会ったこともないお客に『ぶっちゃけ』レベルの値引き提示は難しい”という。ツールによっては交渉のやり取りがすべて残ってしまうので、SNSにアップされてしまうといったリスクもあるため、対面のような本音での商談展開は難しくなるのは確かだろう。

 新型コロナウイルス感染拡大がなかなか収束しないなかでも、困った時に気軽に声がかけられ、生身でコミュニケーションがとれる信頼関係を日々顧客と積極的に構築しているブランドが販売実績でも好調を維持しているといっていいだろう。


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