「悲願達成」の瞬間を現場からリポート! 日本初の「公道レース」がついに行われた (2/2ページ)

開催された地元の住民も好意的な感想!

 778mのコースを20周して争われたレースに勝利したのは、FIA F4やヴィッツレースに参戦経験のある大井偉史選手。予選3番手から首位に立つと、そのまま逃げ切ってみせた。

 大井選手は今回のレースについて、「前から気になっていて、出たいなと思っていたレースでした。雰囲気がすごく良いなと思いました」と語った。

「レース中、ずっと手を振ってくれるんですよ。レース中も手を振り返しちゃおうかと思うくらいで……和むんですよ。フィニッシュ後めちゃくちゃ手を振りました」。

 実際にレースが行なわれる前は、地元の住民や商店からの反対意見が噴出するのではないかという危惧もあった。しかし大井選手の言葉どおり、沿道では老若男女問わずドライバーたちに声援を送り、イベント終了後には街を行き交う人々が「どこで観た? やぁ、すごい迫力やった」と口々に語り合っていた。レースの模様は地元のケーブルテレビでも生中継されていて、「録画してあるから、あとで見返そう」という人もひとりやふたりではなかった。

 なおこの日の道路占有時間は、6時間と決められていた。衝撃吸収バリアの設置から走行、そして撤収作業までを、この時間内で終わらさなければならなかったのだ。ただこの一連の作業も、信じられないほどスムースに進んだ。9時に設営が開始されると、1時間もせずに準備が整い、レース終了後にはやはりあっという目に撤収作業が完了……予定時刻の1時間ほど前の時点で、コースはいつもの国道・県道・市道に、元どおりになっていた。これは事前の入念な準備もさることながら、集まった260人のボランティアの結束力の賜物だと言えよう。

 レースも、運営も、設営と撤収の作業も、全てがうまく行ったと言える日本での公道レース初開催。次回のA1市街地グランプリ、そしてそれ以外の市街地レースの開催は、現時点では未定である。しかし江津はもちろん、日本中いくつかの自治体が、市街地レースの開催に興味持ったのは間違いないはず。そう遠くない将来に、再び市街地でのレースが見られるだろう。

 日本のモータースポーツは、また一歩、新たな段階へと踏み出した。


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