「低性能」のイメージは誤解! 同じ銘柄でもディーラーで「純正装着タイヤ」を選ぶべき「深い」理由

同じ銘柄でも中身は新車装着と用品店のもので異なる!

 クルマ好きの人が新しいタイヤを購入する際、タイヤ専門店やカー用品店を利用することが多い。国内の大手タイヤメーカーは自社ブランドの販売店を展開しており、自分の好きなタイヤブランドのショップでタイヤを買うのは楽しいものだ。カー用品店もタイヤの販売に力を入れているので、いずれも質・量ともに選択肢が豊富で十分な満足度が得られる。

 また、ホイールとセットで買うならネット通販もお手軽だ。タイヤ単体でも、持ち込み装着の工賃を加算してもなお割安となるケースも少なくない。

 そんななか、あまり注目されないのがディーラーで買える新車装着タイヤである。新車装着時のタイヤが気に入り、次もまた同じタイヤを選ぶ場合はディーラーで買えばいいわけだが、昔から走りにこだわるマニアは、ディーラーで買える新車装着タイヤを選びたがらない傾向が強い。その理由は「純正装着のタイヤはコストが削られた低スペック製品である」との誤解で、同じ銘柄でも、新車装着用のタイヤはアフターマーケットで売られるものと比較すると質が落ちるかも知れないと考える人が少なくないというのだ。これは日本市場特有の傾向らしい。

 横浜ゴムのタイヤ製品開発本部のエンジニア、栗山正俊さんによると「純正装着タイヤはコストが削られていたりすることはなく、それぞれの車種ごとに最適な性能となるよう専用開発している場合が多い。むしろより手間がかかっている」とのこと。アフターマーケット用のリプレイス品は、どのクルマに履かせても平均的に良い性能が出せるようなセッティングになっているので、専用セッティングの新車用とは厳密には同じではないことは確かながら、基本的な質や性能に差はないという。

 あとは価格の問題もある。少し古くなったモデルを安売りしている用品店などに比べると、ディーラーで売られるタイヤは割高となるイメージもあるが、新車装着時のタイヤが気に入り、次もまた同じタイヤを選ぶ場合はディーラーで注文するのがベストと言える。

 また、車種によっては専用開発の度合いが強いタイヤを装着するケースもあるので、新車時に気に入った乗り味を長く味わいたいのなら、ディーラーでの交換が必須となるケースも。

 たとえば、この秋に正式発売される新型レヴォーグでは、ヨコハマのBluEarth-GTが全車に装着されるが、これは市販のBluEarth-GTとはかなりの別物となっている。

 まず、操縦安定性確保のためタイヤの骨格を構成するケーシングがより硬い構造となっていたり、トレッドパターンはより静粛性を重視した仕様になっている。パターンノイズを減らすために外側ののブロックを小さくして数を増やしているなど、見た目からして市販用とは違うタイヤであることがわかる。ブロックの小型化による剛性低下を防ぐため、ハイパフォーマンス系タイヤ用のコンパウンドを採用しているという。新型レヴォーグの高い運動性能とコンフォート性の両立ぶりに貢献しているので、市販のBluEarth-GT を装着すると、走りの質や静粛性に変化が出てしまう可能性があるので注意したいところだ。


マリオ高野 MARIO TAKANO

SUBARU BRZ GT300公式応援団長(2013年~)

愛車
初代インプレッサWRX(新車から28年目)/先代インプレッサG4 1.6i 5速MT(新車から8年目)/新型BRZ Rグレード 6速MT
趣味
茶道(裏千家)、熱帯魚飼育(キャリア40年)、筋トレ(デッドリフトMAX200kg)
好きな有名人
長渕 剛 、清原和博

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