クルマの「乗りやすさ」「楽しさ」を左右するカタログの「グラフ」! トルクカーブの見方とは (1/2ページ)

フラットトルクな特性のほうがスムースに走れる

 エンジンの気持ちよさや扱いやすさは何で決まるかというと、トルク特性で決まるといっていい。トルクとは簡単にいえばクランクシャフトの回転力のことで、エンジンの粘り強さを表している。

 扱いやすいエンジンというのは、アクセルを踏み足したときにスッとクルマが加速してくれるトルクをもっているエンジン。つまり、身体に感じる加速感は、パワー=馬力より、このトルクの大小に影響されるというわけだ。だから扱いやすいエンジンかどうかは、どの回転数でどれだけトルクが出ているかを見ればよくわかる。

 とくに大事なのはピークトルクの値ではなく、回転数によるトルクの変化。クルマのカタログに載っているエンジン性能曲線のトルクカーブがそれを表していて、このトルクカーブがなだらかで、最大トルクが低い回転数で発生しているエンジンは発進時の出足がよく、エンジンをあまり回さないで走る街乗りなどでは使いやすい。いわゆる実用エンジンといわれるのは、こういうフラットなトルクカーブで、ピークトルクの回転数が低めのエンジンのことをいう。

 その点、最強といえるのは、EVやハイブリッド車のモーター。電動モーターは、起動トルクが最大トルクなので、回転数が低いときほど大きな力が出て、回転数が高くなるとトルクが小さくなるので、原理的にはクラッチも不要で、変速機もいらない。発進時や低速時のスムースな加速という意味では、電動モーターこそ理想的だ。

 ただし、モーターやトルクカーブがなだらかなエンジンは、ドラマティックな加速とは無縁で、気持ちよさは味わえない。フラットトルクとは反対にトルクカーブの山が尖っているエンジン、とくにその山の頂が高回転よりになっているエンジンは、トルクカーブの山頂に近づくにつれトルクが大きく変化するので、ドラマティックな加速が楽しめる。こういうエンジンは高回転まで回すと理屈抜きに気持ちいい。高速道路で追い越し車線に出て加速するときは、力強さを感じるはずだが、街乗りでは低いギヤを使って回転数を高めにしておかないと、キビキビ走ることは難しい……(当然燃費も悪い)。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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