「ターボ」の誤用だらけ! じつは「電動ターボ」は間違いで「モーターチャージャー」が正解だった (2/2ページ)

モーターを動力に使う場合もスーパーチャージャーと呼ぶ

 ところで、エンジンの排気を使わず、機械の動力で空気を詰め込む装置を、スーパーチャージャーという。スーパーとは、飛び切りのという意味で、より詰め込むことができる装置というわけだ。エンジン車では、エンジン回転を動力にして作動する。

 エンジンに替えて、モーターを動力に使う場合もスーパーチャージャーの言い方でよいだろう。エンジンを使う場合と区別するなら、電動スーパーチャージャーが適している。つまり、電気を使うモーターを動力に、機械式に吸気を詰め込む装置というわけだ。

 たとえば、メルセデス・ベンツの新しい直列6気筒エンジンは、モーターを動力としたスーパーチャージャーを装備することにより、エンジンから動力を得るためのベルト駆動機構を廃し、6気筒でも全長が短くなる作りにしている。

 言葉と、その意味を正しく使うことが、物事を理解するうえで重要だ。したがって、電動ターボや電気ターボというより、電気ブーストや電動ブーストを広めたい。だが、一方で、言葉の難しさは、表現の正しさにこだわるあまり意味が通じにくくなる場合もあることだ。ターボに比べ、ブーストということばは、一般的になじみが薄いかもしれない。

 専門家が語るときは、はじめて述べる際に注意が必要であり、また正しい表現を粘り強く使い続けることが、言葉の表現と意味を結び付ける力になる。あいまいに言葉を使っていると、別の意味に解釈されるなどの弊害も出る。媒体や著者の使命は、本文のみならず、表題などにおいても、そうしたことを意識して表現するところにもあるといえる。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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