「T」を掲げた2台はどんなキャラ? フォルクスワーゲン「T-ROC」と「T-CROSS」を徹底比較 (1/2ページ)

それぞれに異なる個性が光る

 ハンサムなフロントマスクに、クーペのような流麗なルーフラインのT-ROC。元気よくフレンドリーで、冒険心を掻き立てるT-CROSS。ティグアンを筆頭に3兄弟が揃うフォルクスワーゲンSUVのうち、ボディサイズが比較的コンパクトで、ビギナーや女性にも扱いやすい2台と大自然の中へドライブに出かけました。

 フォルクスワーゲンのSUVでもっとも小さなT-CROSSは、ホイールやサイドミラー、インパネにオレンジがコーディネイトされてお洒落。シートの色使いや肌触りも心地よく、小さくても室内はゆったりしています。後席の前倒し操作も簡単で、キャビンとラゲッジをフレキシブルに活用可能。5人乗車時でもラゲッジ容量が455Lあり、キャンプ道具などもたっぷり積める実力派です。小さいだけのSUVと思われたくないから「Tさい」を謳うキャッチフレーズにも納得です。

 そしてT-CROSSよりもひとまわり大きなT-ROCは、トップグレードのTDI R‒Line。ボディカラーがインジウムグレーメタリック×ブラックルーフの2トーンということもあって、全体的にシックで大人っぽい印象です。室内は全車標準装備となるデジタルメータークラスター「アクティブインフォディスプレイ」を中心に、先進的でスッキリ。R‒Line専用のレザーマルチファンクションステアリングやクッションの厚いシートなどでプレミアム感もあり。後席は頭上や足元がゆったりとしてリラックスできながら、ラゲッジ容量は445Lを確保し、大きな荷物だってOK。

 上質感がありながら、実用性にも手を抜かないのがT-ROCです。T-ROCがあればすべてを1台でこなせる、まさに「オールマイT」なSUVですね。

 2台は都心をスタートして高速道路へ。ガソリンの1リッター直3ターボ+7速DSGが搭載されるT-CROSSは、出足から軽やかに駆け出していきます。街中ではキビキビと、高速ではヒュンヒュンとよく回り、パワーをいっぱいに使って走るのが楽しい! 山道でもヒラリとカーブをかわしていくスニーカー感覚です。

 そして2リッター直4ディーゼルターボのTDI+7速DSGを搭載するT-ROCは、ディーゼルとわからないほど静かでビックリ。発進から滑らかで、余裕を感じさせる加速フィールが続きます。段差を超えた時に感じるボディのカタマリ感など、逞しさもあって安心です。加えてこのR‒Lineのみに与えられる電子制御ダンパー、「DCC」は走行モードを選べるので、いろいろ楽しめるのも魅力的。後席の乗り心地もよく、懐の深さを感じました。

 どちらも共通するのは、アップライトで見晴らしのいい視界と、T-ROCで最小回転半径が5mという小回り性能。T-CROSSにはパークアシスト機能もあり、これなら運転が苦手でも心の余裕が生まれるはず。どんな道も快適に楽しませてくれるT-ROCと、元気いっぱいでフレキシブルに使えるT-CROSS。どっちを選んでも間違いなく、パーフェク〝T〞な満足感でいっぱいです。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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