スーパーカーが記載する0-100km/h加速タイム! 2〜3秒台ってどのぐらい「凄い世界」か体験から語る (2/2ページ)

一般的には5~6秒の加速タイムで相当な速さだと言える

 このローンチコントロールを備え、0~100km/hで驚異的なタイムを引き出してカタログでアピールしたのは日産R35GT-Rだった。2012年当時、すでにローンチコントロール使用で0~100km/h加速を2.8秒と発表していた。一般的には5~6秒の加速タイムなら相当な速さ。2.8秒というのは驚異的なタイムといえる。

 実際に菅生サーキットで行われた試乗会においてローンチコントロールを作動させて試してみたのだが、まるで後ろから蹴飛ばされたような衝撃を受け、身構えていても身体が後方にのけ反った。うっかりしていたらステアリングから手を離してしまいそうなほどの衝撃だった。とても一般道でそれを試そうという気になれなかったが、後にテスラ・モデルSはこのGT-Rを上回る0~100km/h加速タイム2.5秒をカタログでうたっている。EVセダンで2ペダル。だれでも、どこでもアクセルを踏み込むだけでこの加速が引き出せてしまうのだ。

 ちなみに計算してみると0~100km/hを2.5秒で加速できると、その加速Gは1.13Gで1Gを超える。走行距離はわずか34.7mほどだ。バッテリー搭載でタイヤに掛かる荷重が大きく、4輪駆動のトラクション性能があるので引き出せるのだろう。

 いくら馬力を上げても、パワーを伝えるタイヤが空転してしまったらタイムは引き出せない。そういう意味ではトラクションコントロールが機能して出力をうまく制御できている証でもある。加速Gをモニターし常に細かくフィードバックして制御することが重要なのだ。1000馬力を誇るブガッティ・ヴェイロンでも2.5秒を破れていないことでもわかるだろう。

 ダウンフォースやタイヤの粘着力など特別なグリップが得られないと1G以上のGは引き出せないのが物理の法則だ。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
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海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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