固体燃料ロケット搭載のEVって正気か!? 中国の家電メーカーが公開した「0-100km/h加速0.9秒」の怪物ハイパーカーの正体に迫る

この記事をまとめると

■中国の家電メーカー「ドリーミー」が超弩級のハイパーカーを発表

■ロケットブースター搭載で0-100km/hは0.9秒と主張

■技術に加えて燃料供給といった実現性に大きな疑問が残る

スペックは世界最速クラスのハイパーカーだが……

 いま中国では、まったくの異業種からの自動車業界への参入が盛んになっている。その代表格が、スマートフォンで知られるシャオミの参入だろう。シャオミが既存のハイパーカーに伍する性能の4ドアセダンであるSU7 Ultraで話題を呼んだことは記憶に新しいが、今回、それを遥かに上まわる突拍子のないクルマが別の家電メーカーから登場した。

 ドリーミー・テクノロジーは、ロボット掃除機やコーヒーメーカー、ドライヤーといった生活家電を製造する企業だ。国内では高い人気を誇るブランドであり、とくにロボット掃除機の分野で高いシェアを誇っている。

 ドリーミーは、2026年初頭のCESで約1900馬力の電動ハイパーカーコンセプト「Nebula NEXT 01」を発表。そして4月末、サンフランシスコにて開催されたイベントで、矢継ぎ早にさらなる一手を打ってきた。

 それが「Nebula NEXT 01 Jet Edition」だ。「特注のデュアルソリッドロケットブースター」を搭載し、0-100km/h加速をなんと0.9秒で達成すると謳う1台である。固体燃料式ロケットは起動から150ミリ秒で100キロニュートンの推進力を発揮するとしており、「路面とタイヤグリップの限界をものともしない加速」と説明する。

 ドリーミーによれば、固体電解質を用いたソリッドステートバッテリー、電磁アクティブサスペンション、ブレーキとステアリングのバイワイヤ化なども採用するという。「Jet Edition」というネーミングは、一見ジェットエンジンを連想させるが、その実態は固体燃料ロケットだ。CES版の「Nebula 1」では排気ガスを出さないというEVの利点をアピールしていたが、皮肉なことにJet Editionではその利点をかなぐり捨てた形になる。

 スペックを見る限り世界最速クラスのハイパーカーの誕生ではあるが、ここで一度冷静になる必要がある。今回公開されたプロモーション動画の末尾には「Jet Editionは現時点で販売されておらず、最終製品は実際の仕様に依存する」という免責事項が記載されている。さらに動画には「走行中は常に注意を払い安全を確保してください」という注意書きまで添えられているが、そもそも実写の映像かどうかにも疑問が残るところだ。

 そして根本的な疑問として、固体ロケット燃料を一般ユーザーがどこからどうやって入手するのかという問いにも、ドリーミーは答えていない。固体ロケット燃料は民間人が気軽に購入できるものではなく、管理・取り扱いにも高度な専門知識が求められる。ガソリンとは訳が違うのだ。

 ドリーミーは、UCバークレー校の研究者と面会し、自動運転技術と次世代AIシステムについて議論したとも発表している。自動制御システム、ITS、フルスタックAI統合技術などが議題に上がったというが、長期プロジェクトに発展するかどうかは詳らかになっていない。

 このプロジェクトは刺激的なものであるし、異業種から風穴を開ける事例として評価すべき部分もあるだろう。だが仮にスペックどおりの1台を実際にドリーミーが完成させたとしても、夢と現実の間には、固体燃料ロケットの調達という非常に現実的な問題が横たわっている。


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