レーシングドライバーが本気の提案! あえてGRヤリス「じゃない」選択でS耐に挑戦したい「クルマ」とは (2/2ページ)

最強の2Lターボ+4WD車両が存在する!

そこで白羽の矢を立てたのがメルセデス・AMG A45 S。A45シリーズは2リッター直4ターボの4WDでS耐のST-2にカテゴライズされる。最高出力が市販車状態で421馬力もあり、ほかの同一クラス該当車両を圧倒している。車両価格は800万円程度だが、メルセデス・AMG社に車両供給の提案を行うのだ。A 45はじつは南米のブラジル国内でワンメイクレースが開催されていて、すでにレース仕様が存在するという。それらを上手く調達できれば新車からレースカーを仕立てるより遥かにコストを抑えられるはずだ。

メンテナンスや運営チームは、今や多くの組織やスタッフが揃っていて交渉可能だ。

こうして概算を算出してみると、車両代が約1500万円。メンテナンスチーム契約費が年間で2~3000万円。ドライバーには木下隆之君や桂伸一君など「安く」て実力と安定性のある人材を選び、僕を含めた3人で年間1500万円ほどを確保する。トータル6000万円が必要最低限の提示価格となる。これにクラッシュした場合の保険代、メディア露出経費など含め7~8000万円が初年度の提示価格となる。そしてこれを3年契約とすれば車両価格は年間500万円に抑えられ、補修パーツなどの負担も年々軽減されていくという仕組みだ。

成績がよければボーナスプライスも期待できるような企画書とし、ドライバー/チーム/スポンサーがウィンウィンの関係で継続できるようになれば理想的だ。

2020年は新型コロナウイルスの影響で多くのレースイベントがキャンセルされ、または延期された。こうした不測の事態も想定し、リスクの見積もりを盛り込むことも重要になってきた。たとえばレースがキャンセルされた場合は活動費の30%を返却し、本来レース参戦で使われるべき費用はプロモーションやイベント開催などにあてるなど工夫する必要がある。

またガソリンエンジン車の販売が世界中で制限されようとしている動きのなかで、ガソリンエンジン搭載車で競うレースへの参戦意義をいかにアピールできるのかもポイントになる。将来に動向も見据え、来季を身のある活動とするべく多角的に記述していくのだ。

では、この記事をベースに、メルセデスAMG社に実際に企画書を提出してみようか。

来季、S耐のスタートグリッドにAMG車が並んでいたら、企画書が通ったということだ。乞うご期待!

※本文はあくまでフィクションです。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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