トヨタ・エスティマの歴史と最終モデルの魅力を紹介!

2020年3月をもって販売終了となった

 エスティマは1990年から2019年まで生産されたトヨタのミニバン。2度のフルモデルチェンジを経て3代目となった。しかし、残念ながら2020年3月をもって販売を終了。今回はそんなエスティマにスポットライトを当ててみたい。

エスティマとは?

 1990年に登場した初代は「天才タマゴ」のキャッチコピーの通り、卵形の未来的なボディ形状を採用。直列4気筒2.4リッターエンジンを搭載した。エンジンを横に75度寝かせることにより平床化、また前輪を運転席の前方に置くことによって当時先進的だったアンダーフロア型ミッドシップレイアウトを採用。これらにより高い静粛性と優れた運動性能を発揮した。シートは7人乗り、8人乗りを用意し、ウォークスルーの採用も画期的だった。

 2000年に2代目となる。卵形のボディ形状は継承しつつも、駆動方式はFFに一新。エンジンはV型6気筒3リッターで登場し、2カ月後に直列4気筒2.4リッターを追加した。なお、2001年にハイブリットモデルを追加。

 2006年に3代目の販売を開始。デザインは正常進化でありながら、トヨタのミニバンとしては初のツートーンルーフや、涙目風のヘッドライトの採用などにより、精悍な印象となった。エンジンは直列4気筒2.4リッターと、新開発のV型6気筒3,5リッターをラインアップ。同年にハイブリッドモデルを追加した。

エスティマの魅力

 シンプルでありながら洗練されたデザインが魅力だ。流線型のボディラインや2トーンカラーの採用によって、生活感の少ないお洒落なルックスを実現している。いま流行のオラオラ顔は採用せず、丸みを帯びた形状とするなど、厳ついデザインを苦手とする人や女性などにも適しているだろう。またトールサイズミニバンが多いなか、全高が1730mm〜1760mmに抑えられているのも、駐車場に制限がある人などには嬉しいポイントだ。

エスティマ50系のマイナーチェンジ

 3代目(50系)エスティマは2006年に登場した後、2008年、2012年、2016年と3回のマイナーチェンジを施している。2006年のフルモデルチェンジ以降のモデルを前期型、2008年のマイナーデルチェンジ以降のモデルを中期型、2012年のマイナーデルチェンジ以降のモデルを後期型として変更点を解説する。

‐ エスティマ前期型

 高級感とハイブリッドの先進性を強調するエクステリアデザインを採用している。またフロントとリヤのスポイラーの形状を最適化により優れた空力特性を実現。ピラーをブラックアウトし、ルーフが浮いているようなイメージの「フローティングルーフ」を採用したのも特徴だ。ボディカラーにはハイブリッド車の先進性を表現すると専用色、「ライトパープルマイカメタリック」を新たに設定。

‐ エスティマ中期型

 2008年のマイナーチェンジでは、フロントグリル・バンパー、ヘッドランプ、リヤコンビネーションランプ、アルミホイールなどを意匠変更。よりスポーティな印象となった。室内についても内装色グレージュの「アエラス」への設定拡大や、ユーカリ木目調のパネルなどを新採用。また「アエラス」とハイブリッド「G」には、本革シートなどを採用した「レザーパッケージ」を新たに設定した。

 クルーズコントロール、後席確認ミラー、ステアリングホイールから手を離すことなくオーディオのスイッチ操作が可能なステアリングスイッチを全車標準装備するなど、操作性も向上させている。

 2012年のマイナーチェンジでは、スポーティグレード「アエラス」を中心に改良。ハイブリッドモデルにも「アエラス」を新たに設定した。ヘッドライトとフロントグリルを曲線的に繋ぐ形状とし、リアコンビネーションランプをレッドからクリアに変更。「アエラス」には18インチアルミホイールを採用し、「G」「X」のホイールはデザインが変更となった。また前期型まで装着されていたグレードバッジを廃止した。

 内装・シート色にスポーティな印象のブラックと上品な新色シェルの2色を採用するなど室内の質感も向上させている。

‐ エスティマ後期型

 2016年のマイナーチェンジでV6エンジンを廃止した。グレードについても従来の「X」や「G」をなくし、「アエラス」に一本化。「アエラス」に4つのタイプを設ける形となった。

 またヘッドライトはグリルからサイドまでつながった最新型のLED を採用。グリルは大口化され、バンパーコーナーを張り出した造形とするなど、フロントの印象を大きく変えた。ボディカラーは新色3色を含む7色の単色、またブラックルーフと組み合わせたツートーン仕様3色の計10色がラインアップ。

 室内は天井、ピラーを含め内装色をブラックで統一するとともに、グレードごとにシートカラーを設定し、洗練された室内空間を演出。なおレザーパッケージ廃止に伴い、本革シート仕様はなくなった。

 走りについてもサスペンションのチューニング最適化により、操縦安定性や乗り心地を向上。さらにフロントパフォーマンスダンパーの設定により、シャープなハンドリングを実現した。

 また、自動ブレーキを含む先進安全装備「トヨタ・セーフティセンスC」をエスティマとして初採用。

エスティマのインテリア

 最終型のボディサイズは全長4820mm×全幅1810mm×全高1730-1745mmでありながら、数値以上に広く快適に感じられる室内空間を実現した。

 インテリアに直線基調で広がりのあるデザインを採用するほか、シートアレンジも充実。7名乗り仕様では3列目のシートを収納した状態で2列目のシートを最大800mmスライドさせることが可能。また8人乗り仕様には2列目シートにチップアップ機能を備え、床下に収納できる3列目シートを活用して広大な積載スペースを確保することができる。

エスティマのエンジン

 3代目エスティマ ガソリンモデルのエンジンスペックは以下。

2.4リッター直列4気筒DOHC

 エンジン最高出力 125(170)/6000[kW(PS)/rpm]

 エンジン最大トルク 224(22.8)/4000[Nm(kg・m)/rpm]

 JC08モードカタログ燃費 11.2〜11.6km/L

3.5リッターV型6気筒DOHC

 エンジン最高出力 206(280)/6200[kW(PS)/rpm]

 エンジン最大トルク 344(35.1)/4700[Nm(kg・m)/rpm]

 JC08モードカタログ燃費 9.1〜9.7km/L

 3代目エスティマハイブリットモデルのエンジンスペックは以下。

2.4リッター直列4気筒DOHC

 エンジン最高出力 110(150)/6,000[kW(PS)/rpm]

 エンジン最大トルク 190(19.4)/4,000[Nm(kg・m)]

 フロントモーター最高出力1 05(143)[kW(PS)]

 フロントモーター最大トルク 270(27.5)[Nm(kg・m)]

 リヤモーター最高出力 50(68)[kW(PS)]

 リヤモーター最大トルク 130(13.3)[Nm(kg・m)]

 システム最高出力 140(190)[kW(PS)]

 JC08モードカタログ燃費 18.0km/L

 残念ながら販売終了となってしまったが、魅力の多いトヨタ・エスティマ。中古車で狙ってみるのもいいだろう。

  


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