才能はもちろん「お金」がないとなれない現実! 子どもが第二の角田裕毅を目指すにはいくらかかる? (2/2ページ)

ステップアップしたカテゴリーも多く用意されている

 手順としては、キッズカートのレーシングスクールの門を叩き、そこで運転の基本を習い、ライセンスを取得することになる。費用は入会金も含めて2万円程度をみておけば大丈夫だと思う。ここで走り方の基本を覚え、あとは練習走行を重ね、そして実戦デビューという順序になる。レンタル車両でも十分可能だが、そろえられるなら自前の車両があったほうがよい。価格は1台だいたい30万円ぐらいだ。

 問題は、カートのメンテナンスと保管方法だ。構造がシンプルなカートとはいえ、場合によってはエンジンオーバーホールなども必要になってくる。実戦で走らせるなら、車両のセッティングも必要となる。すべて自分(保護者)で出来るのであれば問題ないが、そうでなければカートスクールやショップに相談するのも方法である。

 このキッズカートからステップアップしたカテゴリーが「FP-jrカデット」と呼ばれるクラスだ。小学校低学年あたりを上限とするカテゴリーと考えてよいが、車両価格約40万円+1レースあたりの費用(タイヤ/燃料/メンテナンス(委託した場合)/参加料/練習等)は約11〜12万円。これに参戦レース回数を掛け合わせれば年間予算が算出できる。年8〜9回のレース参戦とすれば約150万円が必要になる。

 このひとつ上が「FP-jr」クラスとなる。中学生あたり(15歳ぐらい)まで参戦できるクラスとして設けられている。このクラスは車両価格が約60万円+1レースあたりの費用(タイヤ/燃料/メンテナンス(委託した場合)/参加料/練習等)が約30万円。年間6〜7レースで250万円+αがあればよいことになる。

 高校生になったら「全日本FS125クラス」にステップアップするのが順調な進み方だ。さすがにこのクラスになると「子ども」を相手にした特別クラスではなく、一般のクラスとなるので車両価格も130〜150万円ぐらいと高額になり、レース費用も1レースあたり40万円前後が必要となるようだ。年間数レースの参戦と考えると400万円は必要になる。ただ、このFS125で好成績を残すと、自動車免許がなくても16歳で限定ライセンスの発給を受けられ、サーキットでのフォーミュラレースに参戦することが可能となる。

 もちろん、フォーミュラの場合もレーシングスクールは必要だが、角田選手も入門した鈴鹿サーキットレーシングスクール(SRS)はお勧めできるコースのひとつだ。SRS-Formula、SRS-Kart、SRS-Motoの3クラスが用意され、4輪部門はここの卒業生でもある佐藤琢磨が校長、中野信治が副校長、2輪部門は岡田忠之が校長と、いずれも世界の頂点を極めたドライバー、ライダーが務めている点はさすがにホンダだ。

 そして老婆心ながら最後にひと言。英才教育は必要だが、才能のない人材に無理強いするのは考えものだ。親としては、子どもの才能を見極める冷静な観察眼を持っていたものだ。


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