売れるデザインよりも最優先は「0次安全」! SUBARU車に「元航空機メーカーらしさ」を感じるところ【その2】 (2/2ページ)

スバル1000も「0次安全」の思想によって誕生した!

 今のSUBARUが標榜する「0次安全」は、おもに車内の空間作りのことを示すが、かつては「FF方式の採用」も「0次安全」の思想によるものとしていた。

 SUBARUが最初の乗用車スバル1000を発売した1960年代の日本は、まだ未舗装路が多いうえに後輪駆動車ばかりだったので、免許があってもクルマの扱いは難しいものと認識されていた時代だ。そこで当時のSUBARUは「誰が運転しても扱いやすく安全なクルマ」という意味においてもFFを採用する。

 航空機用星型エンジンからの応用でもある水平対向エンジンをフロントに積み、フロントに荷重をかけてフロントタイヤを駆動するFF方式は、居住性などパッケージング面での優位性とともに、誰もが運転しやすいクルマに仕立てやすいこともメリットだ。

 FFはFRより未舗装路や悪天候下での走行安定性を確保しやすく、限界領域ではアンダーステアは強まってもオーバーステアは出にくいなど、一般的なドライバーにとって御しやすい特性を持つ。つまり、当時のSUBARUが考えた「誰が運転しても安全なクルマ」に最適な駆動方式といえた。

 FFは、誤ってハイスピードでコーナーに進入しても、アクセルを離すという、多くのドライバーが示す自然な反応によってクルマはおのずからコーナリングパワーを回復しやすい特性を持つ。これは航空機における「フールプルーフ(簡単)な機体」と呼ばれるものと同じで、たとえば急旋回時にパイロットがミスをしたり、なんらかのアクシデントによりコントロールを失って失速状態に陥ったとしても、機体が自力で機首を立て直せるように設計されるという。

 また、水平対向エンジンを縦置きにするFFレイアウトは、AWD化にあたってもFRやエンジン横置きFFより比較的容易だったことも、AWD化の大成功に繋がった。販売するクルマの8割以上がAWDというSUBARUの自動車メーカーとしての特殊な販売傾向もまた、元航空機メーカーだからこそと言える。


マリオ高野 MARIO TAKANO

SUBARU BRZ GT300公式応援団長(2013年~)

愛車
初代インプレッサWRX(新車から28年目)/先代インプレッサG4 1.6i 5速MT(新車から8年目)/新型BRZ Rグレード 6速MT
趣味
茶道(裏千家)、熱帯魚飼育(キャリア40年)、筋トレ(デッドリフトMAX200kg)
好きな有名人
長渕 剛 、清原和博

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