【試乗】VWの新型SUV「Tクロス」&「Tロック」の走りやいかに? 名前は似てても走りの差は大きかった (2/2ページ)

「Tロック」にはゴツゴツとした乗り心地を感じた

 次に「Tロック」に試乗する。TロックはTクロスがポロベースであるのに対し、一クラス上の「ゴルフ」をベースに仕上げられていると言える。やはりFFのみの設定ということだが、4WDが必要なら「ティグアン」を選択すればいい、ということなのだろう。

 Tロックの車体ディメンションは全長×全幅×全高は4250mm×1825mm×1590mmだ。WBは2590mmと大きく取られている。ゴルフが4265mm×1800mm×1480mmでWBは2635mmとなっているのでスケール感はほぼ同じであることがわかる。スタイリッシュな車体デザインで大きく見えるTロックだが、全長や全幅はゴルフよりわずかに小さい。見た目に映る存在感の大きさほど実寸は大きくはないのだ。パワーユニットは2リッター直4直噴ディーゼルターボのTDIのみの設定で、トランスミッションはこちらもデュアルクラッチの7速DSGだ。

 Tロックの走りにはTクロスの兄貴分として大きな期待を持っていた。しかし、実際に走らせてみると、思っているより完成度は高くない。要因として考えられるのは2リッターディーゼルエンジンの重量がかなり重く、フロントヘビーであること。FFレイアウトゆえ後輪荷重が少なく、また制動時にリヤリフトを制限して車体姿勢を安定させるためにフロントに固いバネレートを採用し、アンチダイブジオメトリーとしているのではないかと思われた。そのためゴツゴツとした乗り心地となり、また路面追従性がやや荒くしなやかなフットワークとは言い難いフィールだったのだ。

 Tロックは市街地でお洒落に乗りこなす実用的なSUVという位置づけで、世界トップレベルにあるVW車の優れたハンドリング特性を十分に注ぎ込まれているとはいえない仕上がりだった。

 TクロスとTロック。FFオンリーのラインアップで世界のSUVマーケットでどこまで存在感を示せるのか。今後の動向に注目だ。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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海外巡り
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