海外は「だんじり」や「祇園山笠」のような感覚! トヨタが頑張っても日本でラリーがマイナー競技なワケ (2/2ページ)

新城や北海道ではレースを盛り上げる工夫も!

 それは主催者が自治体と協力しながら「新城ラリー」を町おこし、つまり“お祭り”として開催していることが大きな要因だといえる。ヘッドクオーターおよびサービスパークの置かれている新城総合公園にスペシャルステージを設定するほか、SSの時間外にはデモ走行やゲストによるトークショーを実施するなどアトラクション性も高い。さらに自動車メーカーやパーツメーカーがブースを出展して最新モデルを展示するほか、ご当地グルメを中心にさまざまな飲食店がブースも出展するなど、まさに“縁日”のような状態となっている。

 サテライト会場の鬼久保ふれあい広場にも数多くの観戦ポイントが設置されるほか、飲食ブースも出展されるなど、まさに新城ラリーはエンターテイメント性とホスピタリティ性が高く、ファミリーで楽しめるイベントとなっているのである。

 また北海道帯広市を舞台に開催されている「ラリー北海道」もエンターテイメント性の高いイベントとして知られている。APRC(アジアパフィフィックラリー選手権)の一戦としても開催されるほか、かつてはWRCのラリージャパンも開催するなど国際ラリーの経験が豊富で、2020年の大会は無観客で開催されたものの、それ以前はサービスパークが設置される北愛国交流広場には数多くのギャラリーが来場していた。

 やはり、ラリー北海道もお祭り的な要素が強く、メイン会場の北愛国交流広場にはメーカーやサプライヤーの展示および体験ブースが出展されるほか、飲食店ブースも充実している。もちろん、ギャラリーステージが設定されるほか、WRCと同様にラリーショーが開催されるなど、選手とコミュニケーションが取れるセッションが用意されることもラリー北海道の特徴と言えるだろう。

 もちろん、「パウセカムイ」や「音更」など本格的なグラベルの林道ステージで迫力ある走行シーンを観戦できるほか、「陸別」では手軽にウォータースプラッシュなどのアクションを満喫できるところもラリー北海道の魅力と言っていい。

 ちなみに全日本ラリー選手権ではないものの、2019年にWRCのプロモーションイベントとして開催された「セントラルラリー愛知・岐阜」もSSに観戦ポイントが多く設定されたほか、サービスパークには数多くのブースが出店されるなど、まさに“お祭り”のような雰囲気だった。勝田貴元がトヨタのWRカー、ヤリスWRCで参戦したことも数多くのギャラリーの動員に繋がったが、このエンターテイメント性の高さも同イベントのポイントになったに違いない。

 新城ラリーやラリー北海道のようにエンターテイメント性を高めることができれば、全日本ラリー選手権の各イベントも発展するはずだ。スーパーGTを運営する「GTA」やスーパーフォーミュラを運営する「JRP」のように全日本ラリー選手権にはシリーズをプロモーションする運営会社はなく、各オーガナイザーが単独イベントとして開催していることから、全日本ラリー選手権の各イベントは、よく言えば個性的、悪く言えば統一感がない状態だが、全日本ラリー選手権のエントラントは大半がプライベーターとなっていることから、プロモーション会社を設立してプロシリーズ化することは難しいだろう。

 それだけに、やはりイベントのエンターテイメント性を高めるためには、各オーガナイザーと自治体とのさらなる連携が必要になる。全日本ラリー選手権の参戦車両は前述のとおり、プライベーターチームが製作したプロダクションカーで、サービスパークもWRCのワークスチームのように巨大なサービスユニットはないものの、各クラスのトップ争いは僅差でレベルの高いバトルが展開されるほか、その走りは見ていても迫力はあるだけに、観戦ポイントの増設やサービスパークでのアトラクションの充実などエンターテイメント性を高めることができれば、全日本ラリー選手権の各イベントも競技だけでなく、お祭りとして定着していくだろう。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

愛車
スバル・フォレスター
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登山
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