かつて高性能車の証だったグレード名「GT」! 最近激減している理由とは (1/2ページ)

スポーツモデルの代名詞といえるグレード名だった

 かつてトヨタが「名ばかりのGT達は、道を開ける」というキャッチコピーを掲げたことがあった。それは1979年にスポーツクーペである「セリカ」がDOHCエンジンを搭載した際に、ライバルの日産スカイラインのGTグレードのエンジンがSOHCだったことを揶揄するものとして、いまも語り継がれている。そして、当時はどの自動車メーカーもスポーティグレードにGTと名付けていたからこそ「GT達」という表現も通用した。

 あれから40余年、いまトヨタにはGTという名前のグレードは実質的に存在しない(カタログ上は86にGTグレードが用意されているが)。一方で、国産車でシンプルにGTというグレード名を掲げているのはスカイラインとスバル・レヴォーグだけだったりする。それでも、それぞれの最速グレードにはスカイラインでは「400R」、レヴォーグでは「STI Sport」という名前が与えられており、GTという名前に特別感はない。むしろ廉価グレードの名前だったりするのだ。

 ほかに国産車でGTというアルファベットをグレード名に使っているモデルとしては日産フーガ(370GT、250GT)くらいしか思い浮かばない。かつてはマツダRX-7や三菱ランサーエボリューションにもGTという名前のグレードが存在していたこともあったが、まさに絶滅危惧種となっている。

 一方で、輸入車ではGTというグレード名を見かけることが多いように思えるが、現在のニュースで見かける「GT」という文字の後ろには「3」や「4」といった数字がつくことがほとんどだ。ご存知のように「GT3」、「GT4」というのはFIAのレギュレーションに合致した市販レーシングカーのことである。あくまでもカテゴリーを示すもので、なんらかの意味を込めたグレード名というわけではない。

 そもそも、日本車に「GT」というグレード名が多くみられた時代のGTが意味するのは「グランドツーリング」であり、サーキットを速く走るというよりは、ロングドライブを快適に過ごすことができるという意味合いも持っていた。その象徴といえるのが1960年代~80年代のスカイラインGTであり、1990年代のレガシィGTであるだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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