トラックは80km/h! バスは最高120km/h! 同じ大型車なのに最高速度規制が違うワケ (2/2ページ)

バスの事故はトラックより少ない

 もうひとつ、そもそも大型トラックにスピードリミッターが義務化された背景には、高速道路での追突事故が多いという統計的な事実がある。まず、高速道路での衝突事故というのはほとんどが追突事故である(逆走でもしない限り正面衝突はあり得ないので当然だ)。

 なにしろ、トラックにスピードリミッターが義務化された以降のデータで見ても、トラックが起こした追突事故件数はバスのそれに比べて8倍程度となっているのだ。逆にいうとバスは追突事故リスクが少ないためにリミッターが義務化にならなかったといえる。

 また、重量面でもバスはトラックよりも有利だ。たしかに空荷の状態であれば大型トラックのほうが軽かったりもするが、大型バスはフル乗車でも15t前後なのに対して、大型トラックは最大積載時に車両総重量は25tになる。この差が制動距離に影響するのは言うまでもなく、そうした部分でもトラックのほうが追突リスクは大きく、そもそもの衝突被害を軽減するための速度というファクターを抑えておくというのは重要だ。

 なお、バスには速度リミッターが義務化にはなっていないが、すでに継続生産モデルにも義務化されているAEBS(衝突被害軽減ブレーキ)に加えて、ドライバーモニタリングシステムなどを利用した各種の警報など安全対策は進んでいる。たとえばドライバー異常時対応システムのなかには、乗客が緊急停止ボタンを押すことで非常ブレーキをかけて、緊急停止させるシステムが実装されたりしている。

 ちなみに、ドライバー異常時対応システムを搭載したバスは市街地を走っている路線バスにも搭載されている。こうした機能があるということは、クルマ好きであれば覚えておいて、ドライバーが意識喪失するような状態になったときには安全にクルマを止めるように行動したい。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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