「レーサー」は天才! 「ラリースト」は神! レーシングドライバーが語る「ドッチが速い」論争の結論とは (1/2ページ)

「レーサー」は天才! 「ラリースト」は神! レーシングドライバーが語る「ドッチが速い」論争の結論とは

レーサーは天才、ラリーストは神様

 モータースポーツの二大競技としてレースとラリーがある。レースを走るドライバーは「レーシングドライバー(レーサー)」、ラリーで走るのは「ラリースト」だ。

 僕がモータースポーツを始めた頃大先輩から、速いレーサーは「ドライビングの天才」、ラリーストは「ドライビングの神様」だと聞かされた。モータースポーツの世界では一般論としてドライビングの難易度はラリーのほうがレースに勝ると考えられていた。

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ラリーのイメージ(スバル・インプレッサWRX STI)画像はこちら

 レースとラリーの最大の違いは、レースは同じコースを周回し他車と順位を競いながら走るのに対し、ラリーはコドライバーを同乗させ、道案内を頼りに一台で走り、区間タイムを競うという競技形式にある。

 ではレーサーとラリーストを競わせたらどちらが速いのか。昔からあるテーマとしてよく比較されるのだ。

 以前、全日本ラリーストのトップランナーに筑波サーキットを攻めてもらった事がある。何周か練習してコースを覚えてからアタックラップを繰り返してもらった。しかし、タイムはレーサーと比べて2〜3秒も劣る。ラリーストでは1キロ辺りコンマ数秒で競うのがトップクラスの常識で、一周2kmの筑波サーキットで2〜3秒も遅かったらキロ辺り1〜2秒差にもなり、そのラリーストは「受け入れ難い差だ」と驚嘆していた。

筑波サーキットイメージ画像はこちら

 だがラリーストの走りを見ているとサーキットでタイムが伸びない理由は歴然としていた。彼の走りはコーナー手前で必ずフェイントモーションをかけ、コーナーでは深いドリフトアングルを付けて走る。低ミューの悪路でラリー車を走らせるテクニックそのままにサーキットでも走らせていたのだ。

 サーキットで好タイムを叩き出すにはタイヤを過剰に滑らせてはいけないのが鉄則だ。しかし、ラリーステージではまずクルマを横に向けてからコーナー出口に向けてトラクションを稼ぎ出すのがキーとなる。低ミューのグラベルや雪道ではブレーキが利きにくく、十分な減速Gを得られず前輪荷重を高められない。

筑波サーキット走行イメージ画像はこちら

 そこでフェイントモーションでまずコーナー出口方向に向きを変えることでコントロールの安心感を確保し、それからアクセルワークやカウンターステアで車両姿勢を操りながら立ち上がる。しかも通常はコドライバーがコーナーのRや速度、使うギヤなどをペースノートを元に読み上げ、ドライバーはその指示に忠実に従い走らせる。

 眼前に右コーナーが見えていてもコドライバーが左コーナーと間違えて指示したら、左にステアリングを切ってしまうのがプロのラリードライバーだ。それだけにコドライバーとのチームワークは極めて重要になる。

中谷明彦
名前:
中谷明彦
肩書き:
レーシングドライバー/2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
現在の愛車:
マツダCX-5 AWD
趣味:
海外巡り
好きな有名人:
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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